三線弾き歌う沖縄の肝心
沖縄民謡の中核楽器、三線の虜。5年ほど前から神戸市の民謡研究所に月3回通っている。一昨年、沖縄民謡協会の「新人賞」、昨年、「優秀賞」、今年5月に「最高賞」と3年連続で資格審査に合格、着実にキャリアを重ねている。次の目標は、指導ができる「教師」審査の合格。来年の受審を目指している。
20代の頃からの民謡好き。長く和太鼓も叩いてきた。年齢が上がり和太鼓を叩き続けるのは体力的に厳しいと、55歳で、かねて好きだった「レ、ラ抜き」の琉球音階を奏でる三線に行きついた。和楽器奏者の高橋竹昌さん(丹波市春日町国領)に2年間師事した後、曲の背景や、歴史、文化、方言などをより深く学びたい思いが募り、沖縄県出身者が主宰する教室に移った。
沖縄の音楽として広く認知されている「島唄」「花」など、三線と洋楽器で演奏する「うちなーポップス」は「弾くけれど、本当に好きで聞かせたいのは民謡」とかみしめる。「沖縄の人の心に宿る深い思い、『肝心』(ちむぐくる)を歌う『情け歌』が最高」。民謡のレパートリーは100曲以上あるが、「ウケないので人前で演奏は控えている」。
例えば、沖縄民謡を代表する労働歌「汗水節」。歌詞の意味を知り、涙がこぼれた。「不況のどん底にあった昭和初期に、歌詞を公募して作られた曲を、戦後南米に渡った沖縄移民が拠り所にした歴史を知ると、曲への思いがさらに深まる」と話す。
三線を触らない日はない。毎日30分から1時間、弾き、歌う。「うまかろうが、ヘタだろうが歌がついてくる」と言い、「敷居が低いのがいい。お酒を飲みながら弾ける」と頬を緩めた。62歳。