製作規模を問わず、国内外の映画作品を上映し、全国的に珍しい観客の投票形式でグランプリを決める「丹波国際映画祭」(同実行委員会主催)が13日―10月14日、兵庫県丹波、丹波篠山両市の計4会場で開かれる。昨年に丹波市で初開催し、2週間で約3000人を動員。今年は作品数を昨年の2倍の24作品に増やし、会場も丹波篠山市まで広げた。昨年に続き「人」と「自然」をテーマに、邦・洋画やアニメ、アマチュアが制作した短編作品など、老若男女が楽しめるバラエティー豊かなラインアップをそろえ、映画で地域を盛り上げる。
会場は、実行委員長で映画監督の近兼拓史さんが支配人を務める映画館「ヱビスシネマ。」(丹波市氷上町成松)のほか、春日文化ホール(同市春日町黒井)、やまなみホール(同市山南町谷川)、さぎそうホール(丹波篠山市今田町今田新田)。
期間中、鑑賞券1枚を購入すると、作品が6回観られ、投票用の絵馬1枚が付く。最も気に入った作品の感想を絵馬に書き、ポスターなどのそばにつるすと、投票したことになる。鑑賞しきれなかった回数分は同映画館で1年間、使用できる。
「人」と「自然」というテーマに合っていたり、同映画館で好評を得たりした作品を選出。同県尼崎市を舞台にした人情コメディー「あまろっく」や、古典落語をベースにした時代劇「碁盤斬り」、子どもが大好きなアニメ「それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン」などを上映する。あまろっくは、聴覚障がい者向けに字幕版も流す。
全国各地の映像コンテストで高い評価を得た短編作品も上映。丹波篠山市で毎年開催されているアマチュア映像コンテスト「丹波篠山映像大賞」で昨年の映像大賞に輝いた大学生の作品も流す。近兼さんは「(アマチュアにとっての)登竜門になれば」と期待する。
期間中には、映画監督が製作秘話などを語るトークライブも予定。10月14日に春日文化ホールでグランプリを発表する。観客が書いた絵馬のコメントに応じた特別賞も設ける予定。
近兼さんは「ハリウッドからインディーズまでの作品が観られる映画祭はここだけでは。丹波に来て、食や自然などいろんな魅力も感じてほしい」と話す。
鑑賞券は一般1万円、60歳以上のシニアと高校生以下は5500円。同映画館などで購入できる。運営に協力するボランティアも募集。上映作品は同祭ホームページなどで確認できる。
◆地元の「キャンペーンガール」 運営やPRに協力
今年の同映画祭は、丹波市の有志の女性たちが「地元を盛り上げたい」と、「キャンペーンガール」として会場の運営やPRなどにボランティアで関わる。
山内佳子さん(65)、竹安今日子さん(68)、池上かおりさん(61)の3人でつくる「ヱビスシネマシスターズ」は、観客や来賓の案内、フェイスブックに同映画祭を知らせるコミカルな動画を投稿するなど、PRに注力する。
いずれも成松に住み、同映画館開館時からの常連という佐野玲子さん(82)、広瀬公子さん(86)、太田紗斗子さん(85)、芦田まり子さん(86)は「ヱビスシネマガールズ」を結成。観客におすすめの観光名所や土産物などを紹介するガイド役を担う。
山内さんは「遠くまで行かずに世界中の映画が観られる。丹波でこんなにすごいことが行われているんだと、多くの人に知ってほしい」と力を込める。芦田さんは「静かなまちに映画館ができたのがうれしい。応援できれば」とほほ笑む。