発達障がいの切り絵作家 吉川惠弥子さん(丹波篠山市糯ケ坪)

2024.10.13
たんばのひと

吉川惠弥子さん

大好きな切り絵 仕事に

発達障がいのある切り絵作家として活動。中学生の頃から愛用し続けるカッター1本で、愛らしいものから超繊細なものまで、さまざまな作品を生み出している。

きっかけは、中学校の特別支援学級で将来のために取り組んだ「自立活動」。さまざまな内容を行う中、はまったのが切り絵だった。母の万佐子さん(57)は、「小さな字を書くのも苦手で、とても不器用だったのに」と目を丸くし、「先生がいろんなことを体験させてくれたおかげ」と感謝する。

篠山養護学校を経て、現在は地域活動支援センター「WANT」(丹波篠山市南新町)で作業の一つとして制作を継続しており、イベントにも出展。実演で多くの人の関心を集めて作品が売れるようになり、大好きな切り絵が仕事になっている。

「私の犬を切り絵にできませんか?」と提案を受けたことがきっかけで、最近はオーダーメードの受注も始めた。芸大に通う妹の協力を得て、ペットや家族などの写真を基に図案化し、作品に仕上げている。

切り絵を始めたことでさまざまな変化があり、これまでにない人との交流が増えた。作品が売れない日には通りすがりの人に、「こんにちは。切り絵はいかが?」と自ら呼び込みも行うようになり、周囲を驚かせる。その姿自体が障がいへの理解を広げる啓発につながっている。

万佐子さんは、「これからも欲張らず、自分のペースでぶれずにいてくれたら。サポートするために私も元気でいないと」とほほ笑む。

作家名は「ニモ」。最近の目標は切り絵の収入で最新のキーボードを買うこと。29歳。

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