兵庫県の丹波篠山市建設事業組合(16社、波部勝忠理事長)が、篠山城跡東堀の水面を覆い尽くしていたヒシの除去作業に奮闘した。組合員15人が参加。組合員自作のヒシ除去パーツを取り付けたボートや、建設業の特性を生かし、油圧ショベルやトラックを使って効率よく作業を進め、予定していた半日をかけて5分の1を除去した。波部理事長(53)は、「子どもの頃、お城の堀でいろんな生き物を捕まえて遊んだ楽しい思い出がある。当時のように、さまざまな生き物がくらせる豊かな環境に戻ることを願いたい」と話している。
除去作業に用いたボートは、水上で安定した作業を確保するため、鋼管や番線で2艘を連結。水面に浮くヒシを引っ掛けて除去する“引っ掛けパーツ”には、はしごを流用して船尾に取り付けた。これらの仕組みは組合員の高橋隆治さんが考案。現場で組み上げた。
ボートの両側に結わえたそれぞれのロープを数人の組合員が両岸から引っ張り、ボートをヒシ除去ポイントに誘導すると、船尾に横向きに取り付けたはしごを水面下に沈めてスタンバイ。船尾に結わえたワイヤーをウインチでゆっくり巻き上げ、水面のヒシを引っ掛けながら岸辺へ運んだ。
岸辺に集積したヒシは、はさみ状のアタッチメントを取り付けた油圧ショベルでつかんでトラックの荷台に載せ、乾燥させるための一時保管場所として城跡南側の広場に集めた。
ヒシは昨年から大繁茂するようになり、前年度は市から依頼を受けた同市建設業協同組合が除去作業を行った。今回で2度目の作業だった。市によると、東堀のみならず北堀や内堀、薬研堀の一部にも繁茂している。
◆ヒシ 池や沼に生育するミソハギ科の一年草の水草。水底に沈んだ種が春に発芽して水面に向かって茎を伸ばし、夏になると水面に放射状に葉を広げる。大量に繁茂した場合、太陽光を遮って水底で生育する植物の光合成を妨げる。その結果、水生生物がすみにくくなり、さらには枯死して沈んだ葉や茎が腐敗し悪臭を放つようになるという。