体や認知の機能が低下した状態「フレイル」の予防につながる食事のこつを学ぶ講座がこのほど、兵庫県丹波市氷上町の交流施設「かどのの郷」で行われた。同町葛野地区の高齢者ら17人が参加。栄養士からメニューを考えるこつを聞いたり、実際に栄養バランスの取れた食事を味わったりして、普段の暮らしの参考にしていた。
丹波地域の栄養士でつくる県栄養士会のグループ「栄養ケア・ステーション丹波」(足立路代代表)の主催。住み慣れた地域で元気に過ごしてほしい、と食生活支援をテーマにした事業の一つ。地域のお年寄りが食事をする機会の多い同施設に協力を依頼し、同グループが監修した食事を組み合わせた「ランチ講座」を企画した。
丹波医療センター管理栄養士の上野千絵子さんが「賢く食べて元気に暮らそう」をテーマに講話。「加齢で感知力が衰え、つい濃い味になって高血圧になる」「あっさりした柔らかいものばかりだと、気づかないうちに低栄養になり、咀嚼力が衰える」「煮物などをたくさん作り置きし、同じ物ばかり食べていると、栄養が偏る」などと注意を促した。
その上で、バラエティーに富んだ食材をバランス良く取り、適度な運動をすることを勧めた。「ごはんの量は片手の手のひらにのるくらい、生野菜は両手にこんもり、を目安に」「味が薄いと思ったら、みそやしょうゆを足すのではなく、こしょう、しょうがなどで調整を」「高齢になると、おかずから食べて野菜、ごはんの順に」などとアドバイスした。
焼き魚か煮魚かを選べるランチを食べながら講座を振り返り、参加者たちは味の感想や普段の食生活などを話題に楽しいひとときを過ごしていた。参加した女性(87)は、「普段から、できるだけメニューが偏らないように気をつけて、毎日1時間は歩くようにしている。きょうは参考になる良い話を聞かせてもらった。できるかは知らんけど」と笑っていた。
足立代表は、「フレイル予防に食事は大事。栄養のことを意識し、実践してもらえれば」と期待していた。