「おむすび」登場の栄養士 防災”歌う”石田さん演じる 阪神経験や東日本支援で白羽の矢

2025.01.16
地域注目

NHK連続テレビ小説「おむすび」に栄養士役として出演した石田さん=神戸市で

橋本環奈さん主演のNHK連続テレビ小説「おむすび」の15、16日放送回に、阪神・淡路大震災を経験し、中学生時代に募金活動などを行ったシンガーソングライターの石田裕之さん(44)=神戸市=が出演。東日本大震災の被災地で活動する栄養士役を演じた。

音楽と防災を組み合わせた活動を行い、東日本大震災や能登半島地震など各地の被災地で支援を行っている石田さんに、演出家から白羽の矢が立った。「思いがけぬことで驚いたが、内容を聞いて運命的なものを感じた」と言い、「阪神・淡路大震災30年を前にした放送ということに番組の強い思い入れを感じる。それぞれの人生を歩んできた被災者に思いをはせる日にしてもらえればありがたい」と話している。

石田さんは、結(橋本さん)の栄養専門学校時代の同級生・佳純(平祐奈さん)と共に東北に赴く管理栄養士役を演じた。

演出の工藤隆史さんとは阪神・淡路大震災の取材で旧知の仲。今回は東日本大震災直後の避難所の様子などでアドバイスを請われ、協力していたところ、「東北で体験した感情や状況を想像しながら演じてもらうことができたら」と依頼された。

演技の経験はゼロだったが、「東北の避難所での支援という設定。1・17前の放送。主題歌は昔から憧れていた『B’z』。全てが自分にとって特別だった。演技経験はなく迷ったが、勇気を出してお受けした。人生何が起こるか分からない」と振り返る。

撮影スケジュールはタイトで、NGがほぼ許されない状況。「喉がカラカラになるほど緊張してずっと水を飲んでいた。会議室でけいこしてきた通りにはいかないことを痛感。いかにその場に合わせて自然な反応ができるか、自然体であることが求められた」と言い、「終盤は自分なりにつかめてきて、俳優さんとのやり取りが楽しくなった。平さんとアイコンタクトの演技ができたのはうれしかった。うまくいったかどうかはご覧になる皆さんの評価に尽きます」と苦笑する。

近年はボイスパーカッションの第一人者・KAZZさんとユニット「Bloom Works(ブルームワークス)」を組み、音楽を通して防災を伝える取り組みにさらに力を入れている。

「自分が今まで続けてきたことがこのような機会に結びついた。東北には震災以降ずっと応援し続けてくれる人がたくさんいる。その方々に喜んでもらえるのが一番うれしい」と喜び、「視聴者の皆さんには避難所のリアルな様子を知っていただき、次の災害時に生かしてほしい」と期待する。

また、「災害時に限らず、生きる喜びの一つとして食がとても大事だということを、魅力的に、おいしそうに描いている。まさに、食べることは生きること、というのが伝わる」と、このドラマの魅力を話している。

●いしだ・ひろゆき● 阪神・淡路大震災時、自宅の被災は少なかったことから、当時、学校の生徒会で街頭募金を実施し、支援の重要性と共に災害時であっても変わらない人々の温かい心に触れた。シンガーソングライターとして神戸で活動すると決めた際、地元を愛するきっかけになったのが震災と考え、初めてリリースした曲の収益を、当時から資金難だった鎮魂の灯り「神戸ルミナリエ」に寄付。災害や防災との関わりが増えた。東日本大震災時には、宮城県石巻市に入り、被災した人々と共に復興を応援する歌「やっぺす石巻」を制作し、今も交流を継続。熊本、能登など各地の被災地にも入り、音楽を通じた支援を行っている。父が兵庫県丹波篠山市出身で、丹波篠山ふるさと大使を務める。

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