土地改良事業に伴って実施する土地の換地(土地の交換)など、専門的な知識や技術を有する国家資格「土地改良換地士」に、兵庫県丹波市役所から丹波県民局篠山土地改良事務所整備課に出向中の職員、門内進さん(32)が合格した。同事務所によると、昨秋の試験は全国の256人が受験し、53人が合格。県内に限ると5人のみが狭き門をくぐった。門内さんは「知識を生かし、市の土地改良事業の発展に尽くしたい」と話している。
ほ場整備の区画整理で、複数の筆を1つにまとめたりする際、どの土地を誰に割り当てるのかを決めたりするのが換地。土地の所有者や利用者の利益を保護しつつ、公平で適切な土地の配置や利用を図るための業務を担う。市によると、これまで換地業務が必要になった場合、専門業者に委託していたという。
土地改良関係の部署に配属されて5年目。うち3年は市農地整備課に勤務し、同事務所整備課に出向して2年目になる。ほ場整備が進む地区で換地業務が行われる中、当初は上司と専門業者の打ち合わせの内容を理解するのが難しかったという。
これが学びの動機付けになり、同資格を認定する農林水産省のホームページにある過去の試験問題を解いたり、行き詰まった際は関連の法律や条文を確認したりし、一歩ずつ理解を深めた。
半年ほど学習し、昨年10月末の試験に臨んだ。土地改良法や測量法など関連法律の知識を問う試験や、「換地計画書」を作成する実務試験があり、自己採点では合格ラインを越える80%以上の正答率だった。見事、一発合格を果たした。
土地改良法など、普段の業務から関連の法律に触れていたことが大きかったという。一方で、守備範囲が広い民法は対策が取りにくく、苦労した。
市で上司にあたる技監兼入札検査部長の上畑文彦さんは、「仕事をしながら勉強するのは簡単なことではない。合格率20%の狭き門を突破するのは快挙」と話す。「市にとっても、換地業務が自前でできるメリットは大きい」とする。
同事務所整備課長の谷本幹夫さんは、「ほ場整備を進めている地区があり、知識を生かして地元に寄り添って完了してほしい」と話す。
門内さんは「昭和50年代から平成初期にかけてほ場整備が実施された地区が多く、古くなった水路のコンクリートで漏水が発生している状況にある。農業の効率化が進み、コンクリート水路のパイプライン化の需要は高まっている。今回、得た知識を活用して事業を進めたい」と話している。