生息エリア拡大を警戒 桜や桃の木食い荒らす外来昆虫 「クビアカツヤカミキリ」市内初確認

2025.07.30
丹波篠山市地域自然

クビアカツヤカミキリの成虫標本(提供)

サクラやモモ、ウメなど主にバラ科の樹木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」(以下、クビアカ)の成虫の雄1匹が12日、兵庫県丹波篠山市住吉台の公園で確認された。同市内での確認は初。県内では2022年6月に明石市で確認されて以降、神戸、芦屋、西宮、三田で成虫やフラス(幼虫のふんと木くずが混ざったもの)などが見つかっており、今月2日には隣の丹波市で初めて、氷上町香良で成虫などが確認された。現在、クビアカの成虫が繁殖期のピークに入っているため、県や丹波篠山市は、生息域拡大を警戒し、周辺調査や地域住民への注意喚起を図っている。

市内初のクビアカが見つかった住吉台の公園=兵庫県丹波篠山市住吉台で

丹波篠山市初の発見者は市内の小学3年生の宮川共生さん。昆虫が好きで、父親と虫捕りをしていた際、カシの木の樹液に集まっていたクビアカを見つけた。その時は正体が分からなかったが、父親がインターネットで調べ、判明。市と県に通報した。

これを受けて14日、県、同市、専門家で、この場所から半径2キロ圏内を調査したが、被害木や成虫は確認できなかった。

丹波市では初確認後、香良を中心に半径2キロエリアで調査を行ったところ、香良と、隣接する絹山で22日までに合わせて成虫19匹、幼虫10匹、さなぎ1匹を確認している。被害木はスモモ、モモ、ハナモモ、ウメだった。

県は、「被害防止は何よりも早期発見、早期防除が重要。成虫や疑わしいフラスを見つけた場合、速やかに通報してほしい」と呼びかけている。

児童に向け、クビアカの生態や特徴を説明する吉良さん=兵庫県丹波篠山市内で

丹波篠山市内の桜の保全に取り組んでいる、ささやま桜協会の酒井克典理事長と、桜守の吉良勉さんは18日、宮川さんが通う小学校へと出向き、終業式で体育館に集まった全校児童を前に、発見・通報してくれたことへの感謝を伝えた。また、クビアカの写真をプロジェクターで大きく映しながら、生態や特徴を説明。「木を枯らしてしまう被害が全国で発生している。早く見つけることで対処できるので、とにかく見つけたら大人に連絡して。皆さんのたくさんの目が武器になる」などと訴えた。

宮川さんは、「夏休み中も昆虫採集に出掛けるので、クビアカがいないかパトロールしたい」と話している。

県に通報し、クビアカと判断された場合、丹波県民局が感謝状と粗品を贈る。

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