農機具小屋に壁面アート 村のフォトスポットに期待 大阪の小中学生兄妹が描く

2025.08.10
丹波篠山市地域観光

農機具小屋のシャッターに描いたミューラルアートと共に記念写真に納まる森口さん、青さん、杏さん(左から)=兵庫県丹波篠山市川阪で

兵庫県丹波篠山市川阪の森口壽昭さん(71)の農機具小屋のシャッターにこのほど、大阪の小中学生のきょうだいクリエーター2人が、ミューラル(壁面)アートを描いた。人口わずか45人の静かで緑豊かな里山集落に、若い感性が光る、奇抜でにぎやかな空間が出現した。森口さんは、「われわれにはない感性。想像以上の出来栄えに感心している。川阪のフォトスポットとして、にぎわいや交流を生む場になっていけば」と期待している。

高槻市在住の山本青さん(14)、杏さん(9)きょうだい。創作したデジタルアートを、無断で複製されない技術を反映させた「NFTアート」にして販売しているほか、企業とコラボして、会社ユニフォームのロゴや商品のパッケージデザインをはじめ、レゲエミュージシャンの公式グッズのデザインを手がけるなどしている新進気鋭のアーティスト。

築25年の農機具小屋のシャッター(縦約2・3×横約2・8メートル)をキャンバスに、壽昭さんの名前の頭文字の「KO」の文字をかわいらしいモンスターにデザイン化し、スプレー塗料を使って、大胆に生き生きと描いた。水平に走る3本線は、川阪の小川や、里山を吹き抜ける風を表現している。モンスターは、最初は人々に牙をむく存在だったが、川阪の住民の優しさや自然豊かな風土に癒やされて改心し、村の守り神になったという設定。

森口さんの農機具小屋のシャッターにミューラルアートを描く青さんと妹の杏さん、見守る森口さん

青さんは「最高の仕上がり。里山には異質かもしれないが、その分、インパクトがあって、面白い場所としてさまざまな人に足を運んでもらえたら」。杏さんは、「緑がいっぱいの場所に、カラフルな作品が目立っていていい」とほほ笑んだ。

2015年から、川阪に関係人口を呼び込み、遊休農地を活用して地域活性化を図る事業「川阪オープンフィールド」を展開しているNPO法人・里地里山問題研究所(さともん)の代表理事、鈴木克哉さんが、黒豆商品のパッケージにNFTアートを活用して販売などを行っていたところ、山本きょうだいと交流サイト(SNS)を通じて知り合った。描ける場所を探していた2人と、川阪のPR策を模索していた鈴木さんらの思いが合致し実現した。

同集落の山崎義博さん方の農機具小屋のシャッターにも描いた。

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