野鳥を探して兵庫県丹波篠山市内の山に入る。本格的な夏を迎えて以降、夏鳥たちはさえずりをやめ、子育てに励んでいることから、ほとんど出会いがない。「きょうも何もいないな」と思いながら、ぶらぶら歩いていると―。
記者の視界に飛び込んできたのは、砂防ダムとみられる構造物。排水のための四角い穴がいくつか開いており、水が流れている。何気なく眺めていると、まるで号泣する人の顔に見えてきた。「めっちゃ泣いてるやん…」
7月30日にお隣の丹波市が、当時、国内観測史上最高気温となる41.2度を記録(現在は4位タイ)したほか、ほとんど雨が降らず、渇水が続いていた丹波地域。農業被害が心配されていたが、その後、まとまった雨が降る日もあり、少し持ち直している。
まだまだ水不足への警戒は怠れないが、住民にとっては恵みの雨が降った後。穴から流れ落ちる涙のような水は、やがて人や農作物を潤すことになる。
「そうか、歓喜の涙か」とつぶやきながら、山を後にした。一方で雨は豪雨被害をもたらす可能性もあることを考えると、少し汗が引いた。
【丹波新聞鳥部】(※コメント欄より、弊社の活動を命名していただきました)


























