兵庫県丹波市春日町の平野智照さん(77)が、出版社「あうん社」から、小説「関東大震災とシャープペンシル―祖父から13歳の君へ」を出した。シャープペンシルを開発した早川徳次の生涯を描いた本など2冊の本とシャープペンシル、日記帳を祖父から贈られた、家に引きこもる孫がその本を読み、感想などを日記として書きつづるうちに心の内が整理され、徐々に意識が外へと向かうというストーリー。平野さんは、「SNS(交流サイト)やAI(人工知能)を否定しないが、人の生き方はアナログなもの。本を読み、自分の言葉として消化することで『信』ができる」と話している。
後に電気機器メーカー「シャープ」となる会社を興した早川は、自らのアイデアで開発したシャープペンシルの工場を立ち上げ、順調に規模を拡大していくものの関東大震災(1923年9月1日発生)で家族や工場を失う。
主人公の孫、隆一朗は、その惨状などが描かれた「早川徳次伝」を読んだことで、近年の災害にも関心を広げた。さらには祖父を通じた人との出会いの中でそれぞれの生き方に触れ、自分の興味、将来の夢へと思いを巡らせるようになる。
引きこもる隆一朗の姿にこれからの日本を憂い、孫に語りかける祖父を同世代、子の親世代の読者と想定。「13歳という時期をどう生きればよいか、子どもたちに日本の明るい未来をどう指し示すか、を考えながらストーリーを組み立てた」と言う。
「AIやSNSに惑わされるのではなく、本を読み、ペンで書くことによってこそ言葉は心の奥に刻まれ、自分の“根っこ”が出来るのではないか」と話している。
オンラインストア「アマゾン」か、書店で注文すれば購入できる(1320円=税込み)。
読書サークルなどの団体には無料で1冊進呈する。取りに行けることが条件で、あうん社発行の書籍で在庫のあるものも進呈できる。10団体まで。

























