「丹波の幸」の屋号で丹波栗の加工、販売を手がける兵庫県丹波市の株式会社「こうはた」(幸畑孫社長)が、クリを縁に同県多可町から観光果樹園、旧「ハーモニーパーク」の貸与を受けた。森林を含め15ヘクタールの広大な土地を「Season’s TERRACE」と名付け、管理不全で荒れた果樹園を再興する。敷地内の標高316メートルの山の中腹に、絶景とフルーツが売りの喫茶店「Cafe Season」をオープンさせた。
同町加美区三谷の三谷渓谷に1994年、旧加美町が3・3億円を投じ整備した。約5ヘクタールにクリ、ナシ、リンゴ、スモモなどが植わっている。ピーク時、年間3万人が訪れていた人気施設も、開園から30年が過ぎ老朽化。町直営、指定管理、土地と建物の貸借契約と変遷を重ねる中で果樹園が荒廃した。
幸畑社長(40)が人に頼まれ、7年前からクリのみ管理をしており、契約満了で前の貸借人が退去するタイミングで同社が町の公募に応募。果樹園を再興し、再び集客施設とする熱い思いを訴え、選定された。土地建物を無償で借りる。町から公費支援はない。
昨年夏に引き継ぎ、放置されたナシ、リンゴを剪定。「全滅しているかと思ったけれど、一部は今年、実が付いた」と喜ぶ。クリ以外の果樹は未経験だが、「勉強するのが楽しい」とも。来期か再来期、もぎ取り果樹園を再オープンさせたい考え。レモン、ブルーベリー、ナッツなどの新植も予定している。
先行してオープンさせたカフェは、新鮮な果物を使ったデザートと、集落を見下ろす絶景を楽しみ、ゆったりとした時間を過ごしてもらう、がコンセプト。
秋は丹波栗を使ったスイーツがずらり並ぶ。おすすめは、渋皮煮、クリームなどをふんだんに使った「贅沢丹波栗のパフェ」(1500円、税別)。小ぶりな「丹波栗のパフェ」(750円、同)も。「丹波栗のモンブラン 極み」(2280円・同)は、自分でモンブランクリームを絞る体験ができる。コーヒー「オリジナルブラック」は500円(税別)。
足立由弥店長(32)は「秋のシーズンはクリ。それ以外の季節にも足を運んでもらえる店づくりをしたい」と抱負。
幸畑社長は「クリ専業でやってきたので、他の果樹への挑戦は悩んだが、もったいなく、どうにかしたい思いが勝った。収穫体験を再開させ、前よりはやらせたい。果樹のテーマパークにできれば」と大きな夢を語った。
カフェは平日が午前10時―午後4時、土・日曜が午後5時まで。火曜定休。




























