あの俳優も食べた? 「難あり」立地のPAに飲食店 東映京都撮影所の味提供 「くノ一」が接客

2025.10.04
丹波市地域地域注目観光

氷上パーキングエリア内に「鴨内さ久庵丹波いっぷく茶屋亭」を開いた山本上さん、喜久代さん夫妻=兵庫県丹波市氷上町本郷で

兵庫県の北近畿豊岡自動車春日和田山道路北行きにある簡易パーキング「氷上パーキングエリア」(同県丹波市氷上町本郷)に、モーニング、ランチを提供する飲食店「鴨内さ久ら庵丹波いっぷく茶屋亭」が開店した。東映京都撮影所内の食堂で責任者をしていた夫が調理、妻が忍者のくノ一に扮し接客する。

大阪市内から7年前に同町鴨内にIターンし、自宅で予約制の日本料理店「鴨内さ久ら庵」を営む山本上さん(71)、喜久代さん(73)夫妻。まちへの恩返しになればと出店を決めた。営業は、火、水、木曜。モーニング(午前7―10時)とランチ(同10時半―午後2時)を提供する。

上さんは飲食一筋50余年。受託業者の責任者として同撮影所の食堂で2004年からおよそ10年勤務。撮影所内唯一の食堂で、俳優、スタッフが訪れる店の味付けを決めていた。うどん、丼もの、カレーライスなど当時と同じ味を提供する。

在職中に同撮影所でドラマ「科捜研の女」「水戸黄門」「暴れん坊将軍」、映画「男たちの大和」「のぼうの城」などが撮影された。「どなたが何を召し上がったとは口外できない」と上さん。ドラマの料理シーンの「手元吹き替え」や、食事シーンに登場する料理作りも担当した。

同撮影所内に、テーマパーク「太秦映画村」が併設されている。昔から忍者が呼び物で、夫のキャリアを知ってもらい、誘客に生かそうと、喜久代さんが忍者に扮している。

トラック運転手に朝ごはんをと、和、洋各500円のモーニングを提供。コーヒーをサービスする。価格帯は「かけうどん」(450円)、えび天3尾など天ぷらが大量にのる「メガ盛りどんどん」(1300円)。「忍者飯」と名付けた、片手で食べやすい小ぶりのおにぎり弁当(500円)も。

北行きの車しか立ち寄れない「難あり」の立地。前に入居していた店子は開店から半年ほどで撤退。市観光協会が家賃無料、光熱水費3カ月無料などの条件で店子を公募した。

山本夫妻は「立地の厳しさは感じている。家賃がいらない分、価格を抑えた。週末は本店の営業があり、体力的に厳しいが、まずは年内頑張ろうと思う」と話している。

同店が休みの日は、観光協会直営で軽食、コーヒーなどを提供。午前11時―午後2時。

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