新米を丹波焼茶碗で 最古の登窯で焼成 かまど炊き味わう

2025.10.08
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「いただきまーす」。丹波焼の茶わんに盛り付けた新米を味わう参加者たち=兵庫県丹波篠山市今田町上立杭で

かまどで炊いた兵庫県丹波篠山市産の新米を、丹波焼最古の登窯で焼成した茶わんで食べるイベントが9月27日、立杭陶の郷で開かれた。爽やかな秋晴れの下、主に阪神間から定員いっぱいの30人が集まった。粒立ちの良いもちもちとした新米を焼き締めの茶わんに盛り付け、あつあつの猪汁を片手に、口いっぱいに頬張った。参加者たちは目を見開きながら、「おいしいー」と声を上げ、お代わりをする人が続出する盛況ぶりだった。

丹波立杭陶磁器協同組合の販売促進委員会が、丹波篠山の食と丹波焼の魅力を知ってもらい、今田町ののどかな里山風景を堪能してもらおうと、初めて企画した。

茶わんは、県有形民俗文化財に指定されている1895年築窯の丹波焼最古の登窯で今年5月30日―6月2日に行った公開焼成で焼いたもの。作陶は、同委員長の森本芳弘さん(丹山窯)をはじめ、市野太郎さん(源右衛門窯)、仲岡信人さん(信凜窯)、上中普雄さん(HIROO_STUDIO)の4人の丹波焼陶芸家が手がけた。

重厚な雰囲気が漂う焼き締めの茶わんがずらりと棚に飾られ、参加者はお気に入りの逸品を選んで席に着いた。

4人がかまどに火を入れ、新米のコシヒカリをふっくらと炊き上げ、丹波篠山特産の猪肉をたっぷりと入れた猪汁も調理し、もてなした。

「さて、どの茶わんで食べようかな」。お気に入りを物色する参加者

森本さんらは、「われわれもおくどさんでご飯を炊いた経験はない。実はこの日のために何度も練習をしてきた」と暴露し、「『はじめちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いてもふた取るな』と言うが、炊き具合が心配なので何度もふたを開けてしまうが、ご勘弁」と笑いを取った。

参加者は、茶わんに炊き立てのご飯を盛り付けると、「朝食を抜いてきたので、もうぺこぺこ」「やばーい、おいしそう」などと言いながら、ひとしきりスマートフォンで写真を撮ってから口に運んでいた。

西宮市から参加した宮田里絵さん(53)は、「なんて甘いごはん。最近、古古米ばかり食べていたので、喜びもひとしお。お米の国、バンザーイ」と笑い、茶わんをまじまじと眺めながら、「私は備前焼の岡山県出身。丹波焼と似ているので、懐かしさを感じる。それと同時に作り手の思いやエネルギーも感じられる。焼き物っていいですね」と話していた。

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