
優秀発表賞を受賞し笑顔を見せる宮野さん=奈良県奈良市で(提供)
応募総数は86編。まず同フォーラム審査委員会で優秀賞5編、佳作6編が選出された。後日、受賞者は同大学に招かれ、パワーポイントを用いて研究内容を発表。教授らが発表内容を審査し、学長賞、知事賞、優秀発表賞、優秀賞を決定した。初出場の宮野さんは優秀賞に選出され、〝甲子園〟に臨んだ。
宮野さんは「壱岐中世史解明の新視点―誰が生池城を改修したか―」と題した約15ページの研究論文をまとめた。城や周囲の石垣、堀などを指す「城郭」の構造について特に関心を持ち、壱岐島内でも遺構の残存状態が良いほか、他の城郭と比べて規模が大きく防御性が高い生池城に着目。同城の歴史的背景を解明することで、同島の政治状況や中世史を明らかにしたいと考えたという。
講評では、生池城に関する文献史料や大縮尺地図の考察に加え、現地での実地踏査による入念な観察、独自の推論が行われている点が評価された。また、今後さらに検討が必要な点を自らで指摘するなど、科学的な姿勢で研究に取り組んでいることも好印象につながったという。
論文作成にあたり、同県埋蔵文化財センターの職員や、同校の重村恭彦校長から専門的な助言を受けたという。
同フォーラムの開催要項に優秀発表賞の記載がなく、自分の名前を呼ばれて戸惑ったという宮野さん。「審査員の方は教授なので知識が豊富だと思うけれど、聞いている人たちに理解してもらえるように伝えることを意識した。緊張したし、(発表を)15分以内に収めるのは難しかったけれど、自分の着眼点が評価されたと思うとうれしい」と胸をなでおろした。
宮野さんは小学5年の頃、日本の歴史上の人物を〝猫〟のキャラクターに擬人化し、子どもにも分かりやすくまとめた4こま漫画「ねこねこ日本史」を読んだことをきっかけに歴史に興味を持った。小中学生時代には、県内や近隣の福知山市にある神社や城などを巡り、歴史に関する本を読むなどして知識を深め、社会科の先生と〝歴史トーク〟を楽しむこともあった。
自宅近くの高校への進学を考えていたが、中学3年の夏、インターネットで歴史を深く学べる学校を検索してヒットした、壱岐高校のオープンスクールへ参加。学習内容のほか、城や遺跡、古墳といった壱岐島の環境に引かれ、家族からの後押しもあり進学を決意。長崎県の離島にある高校への進学を支援する留学制度を使い、「島親」と呼ばれるホームステイ先で、同高校生3人、中学生1人と暮らしている。


























