
車の上でくつろぐサル=兵庫県丹波市山南町岡本で(林さん提供)
兵庫県丹波市山南地域で、サルが人の生活圏のあちこちに出没している。目撃が相次いでいるのは久下、上久下地区。12月中旬からこれまでに約20件の目撃情報が市に寄せられている。車の上に乗ったり、玄関先の正月飾りのミカンをちぎり取って食べたりと、警戒心の薄い行動が目立ち、住民らを驚かせている。
山南町岡本では、昨年12月30日から1月3日まで成獣とみられるサル1匹が出没。同地区で訪問看護ステーションを運営する林豊文さん(64)は、「職員が事務所の戸を開けると、背中に飛びついてきた」と話す。いたずらなのか、車のワイパーや家のサーチライトなどが壊されたりする被害にも遭った。近くの空き家をねぐらにしていた可能性があるという。
爆竹を毎日鳴らし、フェンスに有刺鉄線を張り巡らせたところ、5日以降は姿を見せていない。停めていた車の上でくつろぐ姿も目撃し、林さんは「何もせんかったらかわいいのに…」と複雑な心境を口にした。
犬の散歩をしようと玄関を出た途端、サルに出くわした、同地区の藤本直さん(41)は「目の前に現れたので、びっくりした。犬も震えていた」と話す。
高校生に飛びつく

屋根の上を歩くサル=兵庫県丹波市山南町上滝で(吉竹さん提供)
サルは、同町池谷のJR谷川駅にも姿を現している。昨年12月23日の朝には、女子高校生が駅の前で足に飛びつかれた。スマホを見ていると、周囲がざわざわし始め、顔を上げると目の前にサルが。動く間もなく、一瞬の出来事だったという。高校生は「『え?何が起こったん?』という感じだった。ぜんぜん痛くはなかったけど、考えたらやばかったかも」と話す。サルはこの後、すぐに離れ去った。このほか同駅では、「服を引っ張られた」という通報も市に寄せられている。
山南町上滝の吉竹勉さん(80)宅には、5、6、7日と3日連続でサルが現れた。午後に1時間ほど木に登り、2、3個ずつ柿を食べていた。玄関の正月飾りのミカンももぎ取られ、「食べて、皮をほかしていた」とあきれた様子。干していた黒豆のさやも持ち去り、屋根の上で食べていたという。また、家の中から追い払う仕草をすると、窓に飛びついてきた。「向かってきたのでびっくりした。かわいいとは思えない」と眉をひそめる。
小学校や診療所にも

電柱に登ったサル=兵庫県丹波市山南町下滝で(上久下の森診療所提供)
同町青田の上久下小学校にも8日、サルが現れた。運動場にいるところを校務員が目撃。校舎内には入らず、敷地の外へ出たが、保護者には一斉メールですぐに知らせた。大木修校長は「子どもに被害がなくてよかった」とほっとした様子。
同町下滝の上久下の森診療所にも同日、1匹が現れた。庭の大木に登り、鳴き声を上げながら、電線や屋根を走り回り、裏山へと向かったという。
市は、相次ぐ目撃情報を受け、山南地域で巡回を行っている。住民と共に爆竹やロケット花火による追い払いを行っているが、「爆竹に慣れてきている様子もある」と人なれを警戒。2地区にわなもしかけた。
サルが1匹か、複数かは定かではないが、市農林振興課は「同じ日にだいぶ離れた地区で目撃情報があった。サルの移動距離を考えると、複数いる可能性がある」とする。群れではなく、単独行動の「離れザル」とみている。
同課は、▽不用意に近づかない▽大声を出すなど刺激しない▽干柿や豆など、餌になるものをできるだけ屋外に放置しない▽追い払いは複数人で行う―などを注意点として挙げる。「人里から離れない状況になれば、人に危害が及ぶ可能性もある」と警戒している。


























