生きることが誰かの力に 三肢失った山田千紘さん講演 「今あるもの見つめる」

2026.02.07
丹波市地域地域

自身の体験を通し、「失ったものではなく、今あるものを見つめて」と講演する山田千紘さん=兵庫県丹波市氷上町本郷で

20歳の時に駅のホームに転落し、電車と接触、右腕と両足の3肢を失いながら、懸命なリハビリで社会復帰をし、現在は会社員の傍ら、富士山登頂やホノルルマラソン完歩など自身の挑戦を交流サイト(SNS)や講演活動で発信している山田千紘さん(34)の講演会「失ったものではなく今あるものを見つめて」(am*am主催)が、兵庫県丹波市の丹波ゆめタウンポップアップホールであった。「この体を使って生きることが誰かのためになる」と、前向きに挑戦を続ける姿が聴衆の感動を誘った。

3肢を失った事実に昏睡から覚めて直面、「人生終わった」「早くいなくなりたい」と絶望を感じた。しかし、家族と友人の変わらぬ態度に「自分の方向は間違っている」と早い時期に気づき、前向きに物事を考えられるようになった。「左手がある。この手でこの先の人生をやっていこう」と、同級生が大学を卒業する2年以内の社会復帰を決意した。

事故から1年で、義足で歩けるようになり、車の運転免許も取得。翌年、職業訓練校に通ってパソコンの技術を身に付け、事故から2年で就職した。3年目は自立をテーマに、一人暮らし。心配する母親を安心させるため、料理を作っては写真を送った。

ユーチューブで料理やスポーツをする姿を発信したところ、さまざまな反響があり、自分の行動が誰かのプラスになることが分かり、ますますいろんなことにチャレンジするようになった。

「病院のベッドから1歩歩き始めたことから始まった。人生を諦めず、この左腕一本で歩もうと進み始め、見えた景色があった。立っていることでプラスマイナスゼロ。1歩踏み出すことでプラス1。動いた人と動かなかった人は違う」と言い、「動くことで大きな経験値を得て必ず成長できる」と述べた。

「マイナスの数ではなく、プラスの数を数える。(自分は)左腕があり、しゃべることができる。皆さんを見ることができるし、質問を受けることもできる。失うことがたくさんあるかもしれないけれど、『失ったものではなく、今あるものを見つめる』を思い出して」と結んだ。

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