旧中学校跡地に研究所 石油代替品やバイオ燃料生成 兵庫パルプ工業「木の可能性、最先端まで追求」

2026.02.07
丹波市地域地域注目

「黒液」を手に計画を説明する井川代表取締役専務。旧山南中跡地に設ける研究所でトール油やメタノールなどを取り出す研究をする=兵庫県丹波市山南町谷川で

兵庫県丹波市の旧山南中学校の土地、建物を同市から購入した、パルプ製造と木質バイオマス発電を手がける兵庫パルプ工業(同市山南町谷川)の井川直樹代表取締役専務(53)が丹波新聞社の取材に応じ、同校跡地に、パルプ製造で生じる副産物のバイオマス資源から石油の代わりになる化学品やバイオ燃料の製造を目指し、新たに生成や事業化の可否を探る研究所を設けることや、チップ集積場、地元向けの災害時救援物資基地を設けることなど、開発計画を説明した。校舎など建物を解体、更地にした上で、3年以内に一連の整備を終えるとする。「紙パルプ工場から、21世紀型バイオプロダクト工場へ」転換の足がかりとする。

チップのうちパルプ製造に必要な繊維を取り除いた残りの「黒液」と呼ばれるパルプ蒸解廃液から、トール油や高純度バイオメタノール、リグニン化合物などを抽出する。蒸解廃液は、木のセルロースを保護するリグニンや、樹脂成分が溶けた、いわば「木の油」。

トール油は持続可能な航空燃料(SAF)化し、多用途のバイオメタノールは商用グレードの高純度のものを生成する想定。リグニン化合物はプラスチックの代わりになる。同社は国内で初めて、「黒液」からバイオメタノールの抽出に成功した。化石燃料に代わり、カーボンニュートラルに貢献する。現在のテニスコートの位置に、研究所を建てる。研究職を中心に15人を採用する予定。

原料チップの半分が「黒液」になる。現在は濃縮し、バイオマス発電の燃料に使っている「黒液」で新たにバイオ製品を作る、新たな事業モデルを構築する考え。

校舎跡地は、現在、同社南側で露天で積んでいるチップの保管にも使う。コンベアでプラントまでチップを運べるようにする。

井川専務は「紙需要は減る。電気が余っており、バイオマス発電も太陽光発電にコスト的に勝ち目がない」と先行きを厳しく見ており、「夢がある方が良い。バイオファイナリー技術を追求し、木や森林資源の可能性を最先端まで追求する。製紙パルプ会社が転換する未来の姿だ」と話した。

また、地域貢献として敷地内に防災基地を設ける。段ボールベッドや食料品を保管し、災害時に地元住民に使ってもらうほか、新しい山南中の向かいにある同社所有地を、同社がテニスコートにするか駐車場に整備し、生徒や保護者に使ってもらおうと関係者と相談を続けている。

同社は昨年、旧山南中の土地約5万6000平方メートル、建物11棟を2億4000万円で購入した。

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