鳥獣対策で大臣賞 獣害を「資源」に活性化 みたけの里づくり協

2026.02.27
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「鳥獣対策優良活動表彰」被害防止部門での農林水産大臣賞受賞を喜ぶ、みたけの里づくり協議会の山内会長(中央)と獣がい対策支援員の木下さん(右から2人目)、取り組みを進めている関係者=兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市畑地区の10集落で構成する、みたけの里づくり協議会(山内一郎会長)が、農林水産省が鳥獣被害防止や捕獲した鳥獣の食肉(ジビエ)の利活用などに取り組み、地域に貢献している個人や団体を表彰する「鳥獣対策優良活動表彰」の被害防止部門で最高位の農林水産大臣賞を受賞した。同地区は獣による農作物被害が顕著だったことから、行政や大学、NPO法人、地域外の住民と協働しながら、柵の設置や維持管理、追い払い、放任果樹の収穫など多様な獣害対策を進めている。さらに地域内外の住民との交流や学び、楽しみの要素を組み合わせるなど、獣害をネガティブに捉えるのではなく、地域活性化の資源として考え、取り組んでいることが評価された。

獣害は「害」ではなく、地域を活性化する資源という考え方に立ち、「獣がい」と表記。専門家を招いた勉強会や学習会を繰り返し開き、基本的な知識も身に付けている。主な取り組みの一つが、柿の実をサルに食べられる前に収穫するイベント「さる×はた合戦」。神戸大学の農村実習の受け入れを契機に、2013年から始まり、高齢化で不足する柿取りの労力を地域外住民の協力で補完。地域交流を重視し、「楽しく継続できる場」として関係人口創出のきっかけにしている。篠山東雲高校と連携し、収穫した柿を活用した加工品の開発・販売もしてきた。

20年には、各集落からメンバーを選抜して「みたけサル追い払い隊」を結成(約50人)。雌ザルに取り付けた発信機から群れの居場所がリアルタイムで送られてくる位置情報共有システム(サルイチ)を活用し、集落に出没したサルを煙火(動物駆逐用花火)で追い払うなど、住民主体で実効性の高い運用体制を構築している。

イノシシやシカなどが集落に侵入するのを防ぐ金網柵の維持管理も関係人口の協力を得ている。20年から「さく×はた合戦」と銘打ち、十数人のメンバーで年3回程度行っており、山中に設置した柵が倒木や土砂、獣などによって破損していないかを歩いて点検。その結果報告を受けた集落が補修する分業制で、高齢化する地域の負担軽減と被害対策のための迅速な対応を両立させている。

集落主体で行う効率的な捕獲を進めるため、カメラの映像で檻内の状況を確認、遠隔操作で扉を作動させることができるICT大型捕獲檻を設置。野生動物の通過ポイントや捕獲檻への反応を可視化し、設置場所の選定や誘引のための餌やりなどの最適化を図っている。

23年からは、タケノコを野生動物が食べに来る前に収穫し、同時に獣の潜み場にもなる荒廃した竹林を整備するイベント「たけ×はた合戦」も実施している。

同地区の農作物被害金額は、16年の約173万円から24年には約3万円へと大幅に減少したという。

山内会長(70)は、「市やさともん(NPO法人・里地里山問題研究所)、神戸大学など、各方面からのお力添えがあるからこその取り組み。地区の先輩方の活動の積み重ねが今回の受賞につながった」と喜び、「少子高齢化が進む中、多様な人材や関係人口を受け入れ、いかに協働していけるかが課題。私たちの獣がい対策が全国の先駆けになっていることを感じた。これからも先を見据え、獣がい対策の最先端を走っていきたい」と力を込めた。

受賞の評価ポイントに、集落間、関係機関、団体との連携を促進するため、複数の集落を束ねる調整役「獣がい対策支援員」の配置があった。24年度から同支援員として、対策の計画、運用、関係人口とのコーディネートを担ってきた木下麗子さん(45)は、「畑地区に外部人材を積極的に受け入れられる素地があったからこそ広がった活動。都会育ちで専門家でもない私を受け入れ、提案に耳を傾けて実践してくださったのは地域の皆さん。支援員の任期は今年度で切れるが、今後も一住民として皆さんの取り組みに積極的に関わっていきたい」と話した。

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