「一貫教育」 を土台に
武庫川女子大付属中・高校長 上田武久さん (宝塚在住)
(うえだ・たけひさ) 一九四一年 (昭和十六年) 氷上町石生まれ。 柏原高、 大阪学芸大 (現大阪教育大) 社会科学科卒。 武庫川女子大学附属中・高校教諭、 副校長などを歴任。
青垣町出身の故公江喜市郎氏が創設し、 両親、 縁者や、 甲陽会 (御影師範学校同窓生の会)、 氷上郡出身者が後援して財団法人を設立した武庫川学院。 その武庫川女子大学附属中学・高校の校長に四月から就任。
大学卒業後、 附属中・高校に三十八年勤務。 六代目の校長になった。 「創設者の公江先生がめざされた中、 高校、 大学の一貫教育という立学の理想を実現するため、 大河原量学院長や荻野八郎理事・特別顧問 (青垣町出身) の指導をいただきながら、 微力ですが、 尽力していきたい」 と抱負。
父親が御影師範学校在学時に公江氏が担任だった縁で、 当時事務局長だった荻野氏の世話で、 採用された。 「父親がお世話になった恩返しのつもり」 と当時を思い出す。 「良い発想は、 どんなことでもやり遂げる信念の人だった。 この人についていこうという気持ちがわいてくる。 人間的魅力、 風格があった」 と言い、 公江氏との思い出は数え切れない。
特に力を注いだのが生徒指導。 先輩と共に取り組んだ奉仕作業が今も伝統になり、 地域の評価を高めている。 「校区の広い私学ですから、 地域とのつながりが薄い。 生徒に地域社会への奉仕精神を体得させるため、 近くの国道四三号地下道や通学路の清掃にあたった」。
阪神・淡路大震災時には、 自宅が半壊しているのにもかかわらず、 家族とともに四十日間寮に泊り込み、 授業が一刻も早く再開できるよう全身全霊を傾注。 わずか一カ月たらずで再開できた。
実践的な英語力の育成のため米・豪の高校との交換留学の推進をしたり、 全国の中、 高校では、 初めてブックコーナーを設け、 大手書店とタイアップ。 校内のパソコンで欲しい本を注文できるシステムを導入した。
「附属からほぼ全員が能力と適性に応じて大学に進む本校では、 学力が低下しないよう一貫教育の良さを生かしたさまざまなプログラムを準備したり設備を整えている。 全国レベルのクラブ活動も多い」 とPR。 最近、 高校の後輩が教師として採用された。 「母校の校歌を一緒に歌える同僚ができたことは、 うれしい」。
(臼井 学)