ほぼ4年に一度、 認定される県の青年農業士に今回、 丹波でただ一人認定された。 農業振興の役目を担う青年農業士は40歳までで現在、 丹波には稲山さんを含めて5人おり、 そのなかで一番若い。 昨年、 篠山市内で発足した認定農業者後継者連絡協議会の会長もつとめており、 関係者の期待を集めている若手農家の一人だ。
「青年農業士としての活動をまだしていないので、 実感はわきませんが、 新しい仲間に出会えると期待しています。 肩書き抜きに若手農家と未来の農業を語り合いたいですね。 農業をめざす若手とともにがんばり、 市内でも県内でも農業を盛り上げていきたい」
「サラリーマンとは違う仕事がしたいという思いもあって、 会社を辞め、 99年から花壇苗の栽培を始めました。 順調に規模が伸び、 今ではハウス1650平方メートルと露地13アールで、 パンジーや葉ボタン、 シクラメンなど花壇用の苗を年間40万ポット生産しています」
「会社に勤めていたときは体を悪くした時期もあったけど、 今は病気といえば金欠病ぐらい。 趣味で園芸をやっているわけではないので、 ハイリスク・ローリターンという厳しい面がありますし、 花が枯れてハウス一棟を捨てざるを得ないというトラブルもありました。 でも、 ストレスはさほどありません。 花をさわっていて、 いやされているんでしょうね」
「市認定農業者後継者連絡協議会のメンバーは9人で、 僕を除いて20歳代ばかり。 研修会や先進地視察、 市長を交えての懇談会など、 月に一回ほどのペースで活動しています。 進路に迷いながら農業を継いだ子もいますが、 協議会でおたがいに刺激し合うなか、 意欲を持って農業に取り組むようになりました。 メンバーは仲間であると同時に、 ある意味、 ライバルです」
篠山は、 花壇苗生産には恵まれていないという。 夏場の高温多湿、 冬場の底冷えと日照不足。 そんな悪条件にあっても、 篠山ならではの花を栽培したいという思いや、 生まれ育った篠山を愛する気持ちが強く、 いろいろと工夫をしているという。 その知恵と行動力が青年農業士としても生かされるに違いない。 篠山市東吹。 31歳。 (Y)