「若い芽」を育てる
奈良産業大学教授合唱団指揮者 西岡茂樹さん (宝塚市在住)
(にしおか・しげき) 1955年 (昭和30年) 三田市生まれ。 篠山鳳鳴高校、 大阪大工学部卒。 同大学院修士課程修了。 東洋情報システムに勤務のあと奈良産業大講師、 助教授を経て、 2001年から経営学部教授。
大学の経営学部でインターネットによる電子商取引を中心とした「e-ビジネス論」を講義。 もう一つの顔は、 休日の合唱団の指導者。 両方の分野を器用にこなす。
大学で通信工学を学んだ。 「企業間のネットワークシステムが始まろうとしていたころ。 インターネットの揺籃 (ようらん) 期でもあり、 タイミング的には良い時期だった」 と30年前を振り返る。
大学院の修士課程を終え、 大手銀行のシンクタンクに入社。 会社の本社と支社との通信システムの開発、設計などに携っていたが、 30歳を過ぎると管理職になり、 人事やマネージメントをせねばならず、 「本来の仕事ができなくなる」 と悩んでいたころ、 大学の恩師から 「創立10年の新しい大学が企業で培った即戦力の人材を必要としている」 と声をかけられ、 15年勤めた会社から大学への転身を決意。
大学の専門講義のほかに力を入れているのは、 学生に対し研究したことの発表方法、 文章の書き方などの指導。 「卒業生が訪ねて来て役に立っていますと言ってくれるのは、 うれしいですね」
中学時代から音楽好きで、 篠山の高校時代は合唱部に入部。 2年生のときに指揮をするようになった。 「隣の部屋で吹奏楽部の指揮をしていたのが同級生の畑儀文君 (テノール歌手・武庫川女子大教授) だった。 今も合唱団のリサイタルで友情出演をしてくれています」。大学の混声合唱団でも指揮者として活躍し、卒業後は大学のあった豊中市混声合唱団で活動。 現在音楽監督兼常任指揮者。
豊中少年少女合唱団や中高校生によるユース合唱団も立ち上げた。 「若年層の団員減少が悩み。 混声合唱団のリサイタルのワンステージを子どもたちが受け持つなど歌を通じ世代交流もしています」と言い、 「合唱曲の主流は西洋音楽。 日本の歌を取り入れようと著名な音楽家、 詩人に手紙を出し、 合唱曲を作ってもらうよう依頼もしています」 と合唱の裾野を広げようと力を注ぐ。 「若い芽を育てること。 大学でも社会でも同じことをやっているのかもしれません」
(臼井 学)