京都府で活動する司法書士で構成する 「京都司法書士会」 の、 17代目の会長に就任した。 会員数は4月1日時点で、 425人を数える。 司法制度改革などで、 大転換期を迎えるなかでの大任となる。
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「4月1日から法律が改正され、 司法書士にも簡易裁判所における民事起訴代理権が認められました。 弁護士の数が少ない地域でも、 裁判が受けられやすいようにするもので、 特別講習などを受けた司法書士が、 弁護士と同じく法廷に立てるようになります」
「司法の世界では今、 規制緩和と制度改革が進められています。 他の分野もそうですが、 司法でも、 都市と地方の格差が大きい。 例えば、 氷上郡には弁護士が一人もおらず、 都市部と比べて司法との距離が遠すぎます。 これは問題です。 住民の身近に司法がある環境をつくることが、 制度改革の大きな目的。 全国に約一万7000人いる司法書士が法廷に立つようになるのも、 その一つです」
「この流れのなかで、 司法書士の職務も、 これまで主だった不動産や法人などの登記から大きく広がっていきます。 裁判など、 『手続き』 的色あいの強い登記関係とは異なる仕事も多くなります。 これからの司法書士は、 いろいろな仕事をするために、 幅広い経験を積むことが必要になるでしょう。 また、 常に住民が利用しやすい存在でないといけない。 京都司法書士会でも、 そのような活動をしていきたいと思います」
「司法に携わる資格を持つ者は、 その重さを常に受けとめておかないといけません。 また、 地域住民の視線に立って活動することも必要。 社会への不正義に対して、 是正する行動をとることは義務だと思っています。 利益を先に求めるのではなく、 『仕事のあとにお金がついてくる』 気持ち、 社会活動をする姿勢が一層求められると思います」
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取材中もひっきりなしに電話がかかり、 相談者が訪れる。 会長就任後は、 週3日京都市に出かけているという。 ともすれば、 住民から遠くなりがちな司法の世界を、 少しでも親しみやすく、 身近なものにするために多忙な日々を送っている。 市島町上竹田。 52歳。 (P)