丸越専務取締役 橋本敏信さん

2003.07.06
たんばのひと

商店街活性化に奮闘
丸越専務取締役 橋本敏信さん (尼崎市在住)
 
(はしもと・としのぶ) 1955年 (昭和30年) 柏原町生まれ。 旧姓三宅。 有馬高、 甲南大で学び、 家業のみよし食堂、 コンビニのエポック店長、 大阪の毛糸販売会社勤務を経て、 87年より丸越。
 
 阪神尼崎駅の西に伸びる尼崎中央商店街で3店を構える婦人服販売会社を経営。 柏原でコンビニ店長をしていた時、 仕事ぶりをこの婦人服店オーナーに見込まれ、 婿養子に。 以来16年になる。
 同商店街は阪神間随一の市場が隣接し、 周辺と合わせた8つの商店街・市場でざっと700店。 かつては神戸や大阪からも含め50万の商圏人口を誇っていた。 しかし、 そんな立地条件でも大型商業施設の攻勢は激しい。 表通りからはずれるとシャッターを閉じた店が目立ち、 表通りでも老舗店がいつの間に異業種の全国チェーン店に代わっている。
 「大勢の人であふれているように見えますが、 ひところに比べたら3分の1くらい。 これまで恵まれすぎて、 殿様商売になりがちだった。 うちはよくがんばっていると思うが、 個別では限りがあり、 やはり商店街全体で集客を図ることが大切。 今こそ行動する時なのに、 まだまだ厳しさが見えていない」 と歯がゆがる。
 そんな思いを込めて、 若いころからの夢だった小説の出版を思い立った。 名前も 「元気まち商店街ロクさんの事件簿」。 殺人事件がからんだミステリー仕立ての中に、 商店街組合での『守旧派』の支配、 地元店とチェーン店の考え方の対立等々が浮き彫りにされる。 「全て架空の話ですが、 商店街の振興は誰にやってもらうわけでもない、 地域に対する自分たちの役割をしっかり認識し、 心を一つにすれば、 まだまだ明日に望みはあることを訴えたかった」
 これまであまり話したことのなかったチェーン店主の中に 「あのシーンはすごくよくわかる」 と励ましてくれた人もあり、 反響は上々という。
 商店街は今、 タイガースの進撃でわいているが、 「やはり長期的には 『この商店街の売りはこれや』 というものを確立しなければ」。 8つの商店街・市場でまちづくり会社が発足し、 販促・広報担当の役員として目下、 ポイント・カード加盟店の拡充に奔走している。
 生まれ育ち、 働いていた故郷柏原への思いは強い。 「次は木の根橋をテーマにした小説を暖めているところ」 と、 にっこり笑った。
(外野英吉)

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