農林水産省農林水産技術会議事務局総務課長 臼杵(うすき) 徳一さん

2003.08.28
たんばのひと

丹波を視野に仕事
農林水産省農林水産技術会議事務局総務課長 臼杵(うすき) 徳一さん  (千葉県市川市在住)
 
 1956年 (昭和31年) 篠山市塩岡生まれ。 篠山鳳鳴高校、 京都大学法学部卒。 78年農水省入省。 栃木県農務部農業経済課長、 自治省大臣官房地域政策室長、 総合食料局食料政策課長などを歴任。 本年1月より現職。
 
 講演などで聴衆の心をつかむのに、 「桂文珍さんと同じ中学校同窓生で、 臼と杵という農水省ぴったりの名前」 と始める。 実際、 農水省への就職活動では 「丹波出身と名前」 を最大限アピールして、 東京育ちが多い100人ほどの同期入省のうち、 わずかな地方出身者として採用されたという。 「一般の企業と同じで、 成績だけではないんですよ」
 現在は、 研究者による試験研究とその技術会議を、 予算と人事面からサポートする責任者。 遺伝子組み換えやBSEなどの話題に欠かない日々。 「最近のトピックとしては花粉症を緩和するお米の動物実験が成功したことで、 4、5年のうちに実用化されるでしょう」。 法学部出身なので 「自分が技術に疎いからなおのこと、 分かりやすい言葉で発信するようにと、 研究者たちに強調しています」。
 持論は 「地産地消」。 最近やっと世の中の風向きが変わり、 地産地消が再認識されている。 国も自給率45%を目指している (現在40%)。 昨年、 食料政策課長のとき発行した冊子 「我が国の食料自給率」 には、 自身が開発した 「地域食料自給率の試算ソフト」 が掲載されて、 「自信作なんです。 インターネットですぐ見られ http://www.maff.go.jp
冊子も無料で配布しています」。
 国全体の農業を考えるのが仕事だが、 半ばまじめに 「ほとんど丹波を考えながら仕事していますよ」。 丹波は、 天与の気候と旧兵庫農大の努力で土壌が格別いいから、 黒豆や山芋は高級品として認められているという。 「自分たちが思っている以上に、 丹波は天下に知られていますよ」
 実家は400年続く農家 (現在兼業)。 「民族土着派」 を自認し、 最低年に2回は 「酸素補給」 に帰郷する。 「東京にはいつまでもなじめない。 山がないから電車を下りると方向を失う」とほほえんだ。
(上 高子)

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