本田技術研究所主任研究員 藤本 幸人 (ふじもとさちと) さん

2003.11.23
たんばのひと

未来の自動車を開発
本田技術研究所主任研究員 藤本 幸人 (ふじもとさちと) さん (栃木県宇都宮市在住)
 
1957年 (昭和32年) 山南町生まれ。 柏原高校、 工学院大学工学部卒業。 81年本田技研工業入社。 翌年本田技術研究所に配属され、 ガソリンエンジン開発に従事。 98年より現職でチームリーダーとして燃料電池エンジンの開発を担当。
 
 昨年12月2日、 実用化した燃料電池車の納車式で、 開発代表者として自身で運転して首相官邸におもむいた。 その夜、 テレビ朝日のニュースステーションに、 トヨタの代表者と共に生出演した。 「ビデオ撮りで久米キャスターの運転に付き合いました。 実家には電話が一杯かかってきたそうです」  燃料電池は、 地球上に無尽蔵にある水素を燃料にしてエネルギーを生み出すので、 供給や価格の不安定な石油の代替として、 また有毒な排ガスが一切ないので環境に優しい未来のエネルギーとして期待されている。 4年前、 燃料電池エンジンの開発を言い渡された。 「ゼロからの出発でしたが、 新しいことを手がけ、 かつ注目されるという、 技術者冥利につきる四年間でした」   「夢は何だ」 と飲み屋で上司に聞かれ 「歴史に名前を残すような業績を残したい」 と答えたことがある。 「燃料電池車が一般に普及するといわれる20年後ぐらいには、 2002年が夢の第一歩だったと言われたいですね」。 燃料電池車の実用化では、 日本は他国を一歩リードしているという。 幼いころから機械好きで、 自分で部品を組み立てた自転車で高校へ通っていた。 「やりたいことをやらせてくれる会社」 本田技研に憧れ、 大学卒業後就職。 「入社以来走りっぱなしできました」。 スタッフの人数や予算はマル秘。 「リーダーの任務は、 部下に適した目標とモティベーションを与えることです」。 成功の秘訣は 「協調性よりもカリスマ性だと思います」。 強いて幼児体験に照らし合わせると、 「周りに同年代の男児がいなくて、 いつもお山の大将だったからかなあ」。  海外出張が多く多忙で、 丹波には冠婚葬祭ぐらいにしか帰れないそうだが、 「両親や友人の笑顔で緊張感から一気に解放されます」。 都会的できゃしゃな笑顔だった。 

(上 高子)

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