大阪市立大講師 寺本 敬子 (てらもと けいこ) さん

2004.04.04
たんばのひと

化学物質の影響研究
大阪市立大講師 寺本 敬子 (てらもと けいこ) さん (大阪市在住)  
 
1945年 (昭和20年) 篠山市寺内生まれ。 篠山鳳鳴高、 大阪薬科大卒。 大阪市大医学部助手を経て83年から講師。
 
 環境衛生学を教育研究の対象としている。
 例えば、 鉛や亜鉛などが食品や空気などからどの程度人に摂取されて排泄されるかを解明する。 また、 鉛やステンレスなどプラスチックの原料を取り扱う作業者の健康状態などを調査研究する一方、 有害物質の生体にもたらす影響を動物実験で検証している。
 「職場で有害物質を取り扱う作業者が健康障害を起こすことのないように、 研究結果が学会や国などが示す許容濃度や管理濃度という基準を決める際の基礎資料になります」
 大阪市立大医学部に就職後、 大阪の工場に出向いて調査をしてきた。 最近は、 工場の海外移転で、 対象となる事業所が減少。 スチレンや鉛を扱う工場のあるシンガポールから声がかかり、 1987年、 88年、 91年の3回、 国立シンガポール大学医学部で現地の学者と共同研究を行った。
 78年には、 「スチレンの生体に及ぼす影響の実験的研究」 「スチレン中毒に関する労働衛生学的研究」 で博士号を取得。 公衆衛生部門で、 大阪市長賞を3回受賞し、 研究が高く評価されている。
 現在、 大阪市廃棄物処理施設建設等委員会および土壌汚染対策検討専門部会の2つの審議会メンバーに名を連ねている。 「両方とも工学系の委員がほとんどで、 発言する機会は数少ない。 作業環境や保護具など、 作業者の安全対策について質問するぐらいです」 と話すが、 「分野の違う私が発言すると座がなごむと他の委員から言われます」 と苦笑する。 「今後は化学物質のリスクコミュニケーションに取り組みたい」 とし、 「これまで、 自分の好きなようにやってこれました」 と研究生活を振り返る。 加美町出身の夫も同じ大学院医学研究科で寄生虫の教育研究者。
 「土、 日曜日は、 篠山の実家で過ごします。 高齢の母のために快適に過ごせる家を建てるために勉強しました」 と話す。 各種講演会の講師としても多忙。

(臼井 学)

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