日本学術振興会特別研究員 進藤 哲央 (しんどう てつお) さん

2004.07.01
たんばのひと

素粒子の若手研究者
日本学術振興会特別研究員 進藤 哲央 (しんどう てつお) さん (茨城県つくば市在住)
 
1977年 (昭和52年) 氷上町生まれ。 柏原高校、 大阪大学理学部卒業。 同理学研究科博士前期修了。 今春博士後期修了後、 つくば市にあるKEKに移る。 2003年より日本学術振興会特別研究員。 理学博士。
 
 われわれを取り囲むあらゆる物質をどこまでも小さくして、 最後に残るものが 「素粒子」。 進藤さんはこれを研究分野として、 「世界は何からできているか」 という命題に取り組んでいる。 研究者という仕事は 「自分で仮説を立て解いていくので、 すごく面白い」 という。
 仕事場である高エネルギー加速器研究機構 (KEK) は、 物質を細かく砕く世界一高性能の加速器をもっていて、 素粒子研究に不可欠な存在。 研究者としての日々の生活は誰にも指図されない全くの自己管理で、 「自営業みたいなものです」。
 世界中の論文を読みあさり、 仲間と議論したり、 とても自由に見えるが、 生活の基盤は研究奨励金なので、 次の職を得るためには研究の成果を出さなければならない。 実績は科学雑誌などに掲載される論文によって評価されるため、 「かならずモノになる確実なテーマと、 大きな命題と、 いくつか論文を同時並行で書いています」
 論文は英語で書く。 「僕はあまり英語が得意ではないし、 英語圏の研究者に比べてハンディキャップがあることは認めますが、 英語を共通語として受容しています。 学術論文は国内の雑誌でも英語です」。 最近の研究者は国境を越えて仕事をする。 「日本がだめなら外国があるさ、 という感じでブラジルの大学教授になった人も知っています」。 自身も今秋からイタリア・トリエステにある大学院大学へ研究員として赴任する。 「研究しやすい環境であればどこにでも住めます。 共通語は英語ですから、 言葉には困らないでしょうし」
 柏原高生のとき、 父親が同校で化学の教員だったが、 「僕はあまり化学が得意でなくて、 物理を目指しました」 と、 早くから研究者志望だった。 職業選択について、 「もっと面白い職業があればいつでも変りますけど」 と、 最近の若者らしい答えが返ってきた。

(上 高子)

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