彫刻家 吉居 寛子 (よしい ひろこ) さん

2005.01.23
たんばのひと

存在感のある彫刻を
彫刻家 吉居 寛子 (よしい ひろこ) さん (長浜市在住)
 
1961年 (昭和36年) 丹波市氷上町御油生まれ。 旧姓足立。 柏原高校、 滋賀大学教育学部美術科卒。 滋賀県立長浜高校教諭。 85年に滋賀県展特選。 2004年に日彫展日彫賞、 03年に長浜市民栄誉賞を受賞。 日展会友、 日本彫刻会会員。
 
 高校教師と彫刻家という2つの顔をもつ。 1984年日展に初入選以来15回入選していたが、 昨年念願の特選に入った。 「一つの目標ではありましたが、 受賞してみて、 その重みをひしひしと感じます。 今後とも平常心で地道に続けていきたい」 と淡々とした表情。
 小学校高学年のころ、 図工の指導を受けた女性教諭の影響で、 絵が好きになった。 中学校では、 祖母を描いた作品が近畿の絵画展に出品された。 この時から、 将来の方向がぼんやりと見えてきたようだ。 それを決定付けたのが、 高校時代。 美術部に籍を置き、 当時の顧問、 関口寛治教諭から、 美大受験科目のデッサンや彫刻の指導を受けた。 日展初入選のとき、 高校の一年上の磯尾隆司さんや関口さんがすでに入選しており、 同じ彫刻の道に励む先輩に触発された。
 今月30日まで、 故郷の丹波市立植野記念美術館で開催中の 「丹波市の美術作家たち展」 には、 「序曲」 を出品。 「ダンスの女性が、 出番を待っている姿を作品にしました。 このモデルは実際ダンスの心得がありました。 モデルから感動や衝撃、 緊張感をもらい、 自分の感性を磨いています」。 日展の特選作品は、 この作品と同じような感覚で制作した 「Prelude」 (前奏曲)で、 若い女性が今から何かに挑戦しようとしている姿を表現した。
 大学1年まではデザイン科で、 2年のときに彫刻科に転科。 「彫刻は実際手を使い触覚的に表現します。 手の中で考える魅力があります」。
 MAY美展の出品などで、 母校とのつながりも持つ。 子供のころは、 近くの円通寺の池やもみじの風景をよく描いた。 「遊び場でもありましたね」。 高校の生徒には、 「描きたいものをじっくり見つめることが大切」 とアドバイス。 「人間を深く見つめて掘り下げる。 存在感のある人物を手がけたい」

(臼井 学)

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