丹波市森林組合で働くフランス人 イベル・シルバンさん

2005.05.08
たんばのひと

 フランス・マルセイユ出身で、 東京都立大大学院理学研究科の修士課程を修了し、 今春から丹波市森林組合青垣支所の作業員として働いている。 職場の先輩や同僚からは 『シルバン』 と呼ばれ、 大好きな自然の中で心地よい汗を流している。


  「昨年秋に、 青垣町応相寺のモデル住宅でいなか暮らしを体験し、 その時に今下宿させてもらっている大家さんの紹介で、 組合で研修する機会を与えてもらった。 5日間だけでしたが、 その時に 『自然の中で働く気持ちよさ』 を味わいました。 研修が終わった時に、 『よかったら働きにおいで』 と言ってもらい、 ぜひお世話になろうと思いました。 採用してくれた中尾正文組合長ら組合のみなさんにとても感謝しています」
  「私の作業の中心は、 植林です。 スギを植えるために、 まず植える場所をきれいに掃除して、 シカに食べられないように網をはる。 それからスギを植えます。 自分が植えた苗が、 将来立派な木に育つと思うと、 とてもうれしい。 苗や道具をかついで30分ほど山道を歩くこともあり、 しんどい時もありますが、 しんどくない仕事なんてないと思っています」
  「フランスの山は、 山頂付近にあまり木が生えていないけれど、 日本の山は、 どこまでも森が広がっていて、 たくさん木が繁っている気がします。 ほかにも発見があります。 この間、 山の高いところを流れている小川でカニを見つけ、 驚きました。 平野にカニがいることは知っていましたが、 まさかあんな高いところにいるなんて」
  「ヒノキとスギの違いは、 葉っぱや樹皮の感じで見分けがつくようになりました。 『いくつ』 というのを 『ナンボ』 と言ったり、 『ありがとう』 を 『おおきに』 と言ったりする関西弁にも慣れて来ました。 するべきことは分かっているので、 腕を高めることが必要だと自覚しています」


 流ちょうな日本語を話す知性派で、 礼儀正しく一本気。 それでいておっちょこちょいなところもあり、 周囲をなごませる。 土曜を利用して、 丹波市内でフランス語講座を開こうと準備を進めている。 29歳。 青垣町佐治に下宿中。 (足立智和)

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