海外で医療支援活動
エバラこどもクリニック院長 江原 伯陽 (えばら はくよう) さん (三田市在住)
1954年 (昭和29年) 台北生まれ。 旧姓洪(こう)。 氷上中、 柏原高校を経て九州大学医学部卒。 大阪淀川キリスト教病院に勤務の後、 シカゴ大に留学。 大阪府立母子保健総合医療センターを経て開業。
三田市で小児科医院を開業し、 子どものPTSD (心的外傷後ストレス障害) にも取り組む。
活動のきっかけは、 1995年の阪神淡路大震災。 校医をしている小学校に被災した小学生が転入。 子どもへの接し方を教師と一緒に勉強し、 PTSDという言葉への認識を深めた。 この経験を生かし、 99年の台湾大地震では、 台湾と日本の混成による医療チームの一員として、 様々な医療活動に従事した。
二度の震災経験を役立てるため、 日本外来小児学会で、 「子どものPTSD」 というリーフレットの作成にかかわり、 PTSDを一般の人たちにも理解を深めてもらう活動を展開。 ニューヨークで起きた同時多発テロ時には、 被災した企業の事故対策本部にリーフレットを送った。 「このリーフレットは、 一部英訳されて、 アメリカの子どもたちにも役立てられたと聞いています」。
今、 アフガニスタンでの医療と教育の支援を行う 「カレーズ」 のメンバーに加わり、 同会がカンダハル市に設立した診療所を拠点に医療支援に取り組む。 地雷被害や栄養失調などで、 4人に1人は5歳の誕生日を迎えられない、 といわれる劣悪な環境。 「満足な診察を受けられるような医療設備、 医師が勉強する環境が整っておらず、 医学書が必要と感じ、 帰国後、 全国の医師に呼びかけたところ、 4000冊の本が届き、 現地に送りました」
医師の父が氷上町谷村の町営診療所に赴任するのと一緒に、 中学1年の時に台湾から来日。 「当時学校では、 外国から来たということが珍しく、 『こうちゃん』 と呼ばれ、 友人もできました」 と言う。
「父が亡くなったあと、 遺品を整理していると、 校医をしていた小学校の子供から贈られた、 作文が見つかりました。 きっと、 大切にしていたのでしょう。 地域医療につくした父の心に近づきたい」
(臼井 学)