読み書きに不自由している人たちが学ぶ場として、 有志ボランティアらと立ち上げた 「丹波・篠山よみかきの会」 代表。 篠山市中野の中野隣保館内人権啓発センターで、 毎週水曜日の午後7時から教室を開いている。 田舎ぐらしを望み、 2年前にIターンした丹波市で 『自給自足生活』 をめざす、 元夜間中学校教師。
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「この地域へ越して来る時から、 『読み書きを学ぶ場がない所へ行って、 自給自足の生活をしながら、 学びの場が作れたら』 という思いがありました。 全国夜間中学校研究会の事務局を担当していた経験から、 識字教室がない地域には、 読み書きができない人がいないのではなく、 学ぶ場があれば必要とする人が声を上げるはず、 と確信していました」
「会を立ち上げてみると、 家庭が貧しくて小学校に通えなかった人、 日本に嫁いだ外国人など、 現段階で九人の学習希望者がいることが分かりました。 『平仮名から教えてほしい』 という人もいれば、 ある程度の漢字まで書ける人もいるので、 それぞれの程度に合わせ、 個別に勉強を進めていければ。 指導や送迎のボランティアに協力してくれる市民や大学生もいます」
「大阪府採用の教員になって2年目に、 初めて夜間中学に赴任しました。 母校の大学院で生物の研究を続けたかったため、 夜間への転勤を希望したのですが、 生徒たちの食いつくような目、 学ぼうとする姿に接し、 離れられなくなりました。 夜間の生徒はみんな 『大人』。 文字が書けないというだけで、 知識は豊富です。 生きる力も教わりました」
「丹波・篠山よみかきの会の参加者は、 今は篠山市内の方ばかりですが、 丹波市内にも読み書きに困っている人はいるはず。 活動が広がればうれしい」
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現在、 市立の夜間中学校は、 全国8都府県で35校あり、 中国からの引き揚げ者や在日コリアン、 学校に行けなかった人ら約2500-3500人が学んでいるという。 移り住んだ古民家の改築は、 昔の生徒が手伝ってくれたそうだ。 優しい物腰が印象的だった。 宝塚市出身。 丹波市山南町青田。 57歳。
(徳舛 純)