ラオスの織物を調査
元広島市立大特別研究員 前川佐知 (まえかわ・さち) さん (ラオス在住)
1979年 (昭和54) 京都府亀岡市生まれ。 幼稚園から篠山市大沢の父の実家へ。 篠山鳳鳴高校、 近畿大学文芸学部芸術学科、 広島市立大学大学院芸術学研究科卒。
大学と大学院で染織を専攻。 2004年6月から昨年11月まで、 ラオス・ビエンチャン特別市にあるホワイホン職業訓練センターで、 スタッフとして働いた。 伝統的な染織の技術を生かしてラオス女性が収入を得られるよう、 日本のNGOが立ち上げたセンター。 ただ一人の日本人スタッフとして、 織りの技術指導や広報の仕事などをこなしていた。 支援をめぐる考え方の違いからセンターを離れ、 日本人学校の教員を経て、 現在はラオス中を旅しながら、 伝統的な織物について調査研究している。 ラオスは、 学生時代の旅行でタイから中国に向かう途中、 たまたま通った国だった。 バスの窓から、 軒先で機織りをしている光景が見え、 強くひかれたのが滞在のきっかけになったという。 コンビニもマクドナルドもない小さな農業国。 「柱はまっすぐじゃなくてもいいし、 家は壁だけ作って住み始める。 日本の常識が覆されることが多く、 面白い」 とにっこり。 最初は 「ワン ニャン ボーボ」にしか聞こえなかったというラオス語も、 今では流ちょうに操り、 日焼けした笑顔で現地に溶け込んでいる。 正月は必ず篠山の実家で過ごしており、 12月には日本に帰国する予定。 「日本に帰って働かなあかん、 と思っていましたが、 旅をしているうちにラオスの織りに一段と興味がわいてきました」。 帰国後は、 まとめたレポートを持って再び大学院へ行くつもりだ。 「ラオスとはずっと関わり続けたい」 と考えている。 「篠山に生まれてよかった。 自分の居場所だと思う」。 今の自分をつくっているのは母の影響が大きいという。 「外国に一人で生活していると、 母の言葉をすごく思い出します。 物を買い与えるのではなく、 精神的な面を育ててくれました」。 2人の兄はそれぞれアメリカ、 タイ在住で、 現在は兄妹みな海外で暮らしている。
(徳舛 純)