脊椎動物の羊膜類(爬虫類、鳥類、哺乳類)などの盛衰史を「王朝の興亡」と呼ぶそうだ。どの王朝も、新王朝との競争に負けたり、何らかの原因で一気に「大量絶滅」し、終えんを迎えた。一億年以上に渡って君臨した「恐竜王朝」も六千五百万年前、地球史上五度目の大量絶滅に遭ったという。▼いまだ謎の多いその原因は、「地球に超巨大隕石が衝突し、粉塵で日光が遮断され、気温が急低下した」というほか、火山の長期連続噴火、大洪水など様々の説がある。▼解明は学者に任せるとして、素人でも考え及ぶのは、「あれだけの図体を養うのに、どのくらい食べとったんやろ」、「こけたら起き上がるのが大変やったんちゃうか」。この二点がからんでいることだけは確かだ。それは現「人類王朝」の命運とも、もろに重なる。▼英米の学者の英知を集めて未来世界の動植物の様子を描いた書「フューチャー・イズ・ワイルド(未来は野生)」(ドゥーガル・ディクソンほか著、ダイヤモンド社)は「人類は目下、六回目の大量絶滅が起こる原因を積み重ねているところ」と述べる。▼その時期が仮に百万年先であれ、人類王朝の存続期間は、「恐竜」はじめ過去の諸王朝に比べ、ほんの一瞬のごとく短い。そして地球はいずれまた新たな王朝を擁し、何事もなかったかのように回り続ける。(E)