氷上西高の30周年式典に出席し、記念品に瓢箪をいただいた。上半身がややそっくり返った身の丈7センチほどの可愛い瓢箪。2年半前、瓢箪作りが趣味の大中校長が赴任早々に提案し、全校200人足らずの生徒と先生がこの日のために育てた。▼「瓢に学ぶ」という記念冊子は栽培方法・記録はもとより、漆塗りや絵付け、人形作りや飾りひもの結び方などを満載。小学生たちを招いての「こども塾」など地域を巻き込んでの活動の様子を伝え、巻末は「瓢や瓢や 我汝を愛す」という幕末の思想家、藤田東湖の詩で締めくくられている。▼「新発意(しんぽち)踊り」など郷土芸能が瓢箪と深く関わっていることも知った。式の後、自らアレンジした「飄々」という曲を、瓢箪で作った楽器をまじえて演じる太鼓クラブの生徒らの目が輝いていた。▼1学年60人余りでようやく2学級。少子化が進む中、存亡の瀬戸際にあると言われる同校で、こうした小規模校ならではのユニークな教育が行われていることに感動した。▼アフリカで世界最古の農作物の一つとして産まれ、人から人の手を経てユーラシア大陸東端の日本までたどりついたという瓢箪。その独特の文化が兵庫丹波(ひょうたん)からさらに広まり深まっていくことを願いつつ、いただいた瓢箪で酒を注ぎ、生徒らの健闘を祈った。(E)