卒業式のシーズン。ある高校に招かれ、今年の卒業生から初めて「平成」生まれが出たことに気付いた。いわゆる「早生まれ」だけだが、来年には完全に切り替わる。▼式が終わり、クラスごとに全員そろって「ありがとうございました」と、殊勝気に先生らに頭を下げる光景には、毎年の事ながらほろりとさせられる。電車内の床にどてっとへたりこんでいた者もいようが、こうして見ると可愛いものだ。▼卒業生名簿に目を通しながら、これも習慣になってしまったが、女子の名前にどれだけ「子」がついているか、数えてみた。二十五人ほどで、二割足らず。年々少なくなっていく傾向に変わりはないが、結構残ってはいる。▼「子」以外の名前でも、「ゆみ」、「いずみ」、「かおり」など、今ではクラシックと言える名がほとんどなのにほっとする。近頃の本紙「喜びの園」欄に登場するような、音を聞いても漢字が全く思い及ばない名前は見当たらない。この点は男子も同様だ。▼「子」のつく名前が平成に入っていつの頃から消えてしまうのか、多分ケータイ文化が繚乱となる平成十年くらいが境目ではと、筆者は推測しているのだが。それにしても、「女子の名に『子』を付けたら、絶対個性的」という筆者の信念は、いよいよ揺るぎないものになった。昭和は遠くなりにけり。 (E)