近現代の資料を解明
(しらき・まさとし)大津市在住
1967年 (昭和42年) 丹波市市島町下竹田生まれ。 85年柏原高校卒。 立命館大学文学部史学科を卒業後、 立命館大学大学院を修了。 京都市政史編さん助手を経て、 現職。 大阪府立大学非常勤講師を兼任。
日本近現代史の研究を専門にし、 京都市が琵琶湖から水を引き、 上水道、 発電、 舟運などに活用していた琵琶湖疏水の歴史を解説する。
南禅寺近くにある琵琶湖疏水記念館には、 京都市内の小学生が社会科の授業で見学に来るほか、 世界各地から多くの見学者が訪れる。 今から120年前、 世界的にも電気が珍しかった時代に、 水力発電をいち早く導入するなど、 近代京都の礎を築いた大事業を展示している。
「団体での見学希望者は記念館 (075・752・2530) にご連絡ください。 20日から4月8日まで 『琵琶湖疏水と御所用水』 を開きます。 明治後期に疏水の水利権を持つ京都市と疏水から御所に防火用水を引こうとする宮内省の意向が対立する点が興味深い。 市が国の意向を拒む場面も見られます」。
小学生のころから歴史に関心を持ち、 考古学者になるのが夢だった。 大学で日本史学を専攻し、 「未公開資料が数多く残る近現代史に興味を持った」 と話す。 丹後地方の旧家の蔵に残る資料を整理したり、 在住する滋賀県では 「愛知川町史」 の執筆を担当。 「丹念に資料を解読することで、 これまで知られていなかった政治的な意志決定や地域間対立が浮かび上がることも多い」。
「JR福知山線と山陰本線の歴史を調べると、 京都と大阪の財界の綱引きが見られます。 明治後期に京都・大阪双方とも舞鶴までいち早く鉄道を敷設しようと競争しますが、 結局、 京都側の京鶴鉄道は園部までしか敷設できず、 福知山まで先に敷設したのは、 資本が潤沢な大阪側の阪鶴鉄道でした」 という。
最近、 出身地に近い、 「福知山市芦田均記念館」 で、 「芦田均と京都市長選挙」 をテーマに講演。 元首相の京都市政への影響力を中心に話した。 「子ども時代に近くでよく遊んだ。 懐かしい」 と頬を紅潮させた。(臼井 学)