ティタノサウルス君へ

2007.07.05
丹波春秋

 ティタノサウルス君。君が眠りについてから1億年以上経ち、今度は頭部まで姿を現すとは、驚いたよ。「よく寝ていたのに」と迷惑かもしれないが、しばし僕の独り言を聞いてくれたまえ。▼君の仲間の恐竜たちは1億7千万年もの長い間、地上の王者として闊歩していたのに、6500万年前に突如として姿を消してしまったんだってね。「巨大隕石が地球に衝突し、塵やガスが太陽の光をさえぎって地球を冷やした」というのが原因だそうだ。▼この時、全生物の大半が絶滅したが、ネズミのように小さかった哺乳類は、何とか生き残った。これが今の我々人類の繁栄につながったらしい。でも、我々の直系のご先祖が登場したのはたった3万年前。猿から分かれた「原人」でも700万年前だ。▼君たち恐竜のようにあと1億年以上も生きながらえるか、誰も自信は全く持っていない。何せ、我々は「文明」という、環境に対してなかなかに厄介なものを背負っているからね。▼さらに言うと、いずれはこの地球が太陽もろとも消滅する宿命にあるそうだ。そんな未来までいかなくてもこの先、氷河期の到来など「絶滅」の危機は確実に待ち受けている。悲観はしないが、「今、この宇宙に生きる人間」という意識を、頭のどこかにとどめておきたい。これが、君と出会って考えたことなんだ。 (E)

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