丹波市氷上町にIターンした佐藤康、昭子さん夫婦。京都に小学生の2人の孫がいる。佐藤さん方にやって来ると、ザリガニやセミ取りに興じ、トカゲを追っかけ、泥んこになって遊ぶ。母親が「いい子にしないと氷上に連れて行かんよ」と言うと、素直に聞くそうだ。▼これは、丹波新聞社発行の『田舎は最高』に収録している話。都市部から丹波地方にIターンした人たちを取材し、本紙に連載してきた記事に加筆して本にした。虫捕り網とかごを持ち、野道を歩く子どもの写真が同書の表紙を飾っている。丹波の豊かな自然を次の世代にも伝えたいという願いを表した写真だ。▼同書には、Iターン者の視点から見た丹波の魅力が詰まっている。「満天の星」「おいしくて甘い水」「野菜をたくさんくれる近所の人たち」などなど。丹波に生まれ育った者には当たり前のことも、Iターン者にとっては感動であり、新鮮な発見であったりする。▼同書は、丹波に住んでいる人にも読んでいただきたい。外から見た丹波を知り、丹波を再発見し、丹波の魅力を発信する。そんな狙いもある。▼丹波地方の人口は減少傾向にある。手をこまねいてはいられない現状だ。同書が、人口減の歯止めに少しでもお役に立てれば幸いであり、「田舎は最高」が「丹波は最高」になればと願っている。(Y)