欧州の染色展で特別賞を受賞 前川多仁(まえかわ かずひと)さん

2007.08.06
たんばのひと

 染色アーティストとして活動しており、 バルト三国のラトビア共和国・リガ市で、 7月6日から今月12日まで開かれている 「第3回ヨーロッパトリエンナーレ テキスタイル&ファイバーアート展」 (ラトビア国立工芸美術館主催) で特別賞を受賞した。

      
  「公募展で、 各国から250点ほどの応募があり、 書類と現物審査を通過した61人が出品しました。 受賞したのはグランプリなど10人で、 私を含む3人が招待作家として国立美術館で個展を開けることになりました。 ラトビアは国あげて織物産業のアピールに力を入れていると感じたし、 いい美術館で個展ができることがうれしい」
  「ラトビアに滞在したのは4日間。 資料集めをしたり、 芸術学校を見て回ったりして慌ただしく過ごしました。 コンクールの主催者たちと話をする時は、 通訳がついてくれたのですが、 ラトビア語から英語への翻訳。 英語はあまり得意ではないので大変でした」
  「ろうけつ染めという伝統的技法を用いていますが、 型はパソコンで作りますし、 ゲームやアニメに登場するようなロボットや怪獣、 戦車など現代的なものをモチーフに描いています。 ずっと意識しているのは、 育ってきた環境も含めたルーツ。 現代っ子の部分と、 そうはなりきれない部分をもつ世代の矛盾から作品が生まれています。 田舎だが都会からもさほど遠くないという篠山の中途半端さが最近は心地よく、 両存という意味で、 僕の作品にもすごく通じるところがあると感じています」
  「芸術活動で生計を立て、 『職業=アーティスト』 にするのが今一番の夢。 文章を書いたり、 ワークショップを開いたりすることも含め、 総合的なものづくりをめざしていきたい」

    
 2003年、 実家をアトリエに改装して帰郷。 昔は米屋を営んでいたという古い町家で、 吹き抜けの土間空間に真っ赤なろうけつ染めのテキスタイル作品が掛かる。 インターネットを活用し、 積極的に世界のコンクールにエントリーしている。 最近結婚し、 「いいことも悪いことも増えた」 そうだ。 篠山市西町。 32歳。  (徳舛 純)

関連記事