県の委託を受けて県医師会が実施しているドクターバンク事業の一つとして、 医療過疎地の医療機関を見学するツアーが20、 21の両日行われ、 県医師会関係者やドクターバンク事務局、 県健康生活部職員らが県立柏原病院を訪れた。 応対した酒井國安院長と上田康夫副院長は、 最優先課題として内科医師不足をあげ、 人工透析と糖尿病外来を担える非常勤医の紹介を強く要望した。 (足立智和)
県ドクターバンクコーディネーターの伊藤芳久氏 (三田市医師会)、 兵庫県医師会常任理事の中堀秀雄氏 (姫路市医師会)、 県健康生活部参事の今井雅尚氏と、 同バンクに登録している三木、 芦屋両市医師会所属の医師3人ら8人が訪問した。
懇談では酒井院長が、 同病院の医師不足について、 4年前と今年10月1日と比較し、 15人減っていることを紹介。 医師数が3分の2になり、 専攻医クラスの若手医師も減ったことで 「実働能力は半分程度に落ちている」 と、 危機的な状況を説明した。
ドクターバンク側からの 「常勤は難しく、 非常勤での紹介になる。 どんな医師を求めているか」 との問いかけに、 月、 水、 金の週3日実施している人工透析を担当する非常勤医と、 週1回の糖尿病外来の担当医師の紹介を希望。 人工透析は、 3人で週1回ずつの担当でもよしとした。
また、 「へき地の但馬は厚く人的な手当てがされているが、 丹波は医師が減り、 地域医療の維持に非常に困っている。 常勤と言わず、 非常勤でも医師に来て頂いて、 盛り立てていきたい。 県立病院では最北端で、 日本海の方に柏原病院があると思われている方もあるが、 日本海よりも、 神戸の方が近い。 特急電車も全て停まるし、 交通アクセスは思われているほど不便ではない」 と、 懸命に訴えた。
県医師会から医師減少の原因に対する認識を問われた上田副院長は、 新臨床研修医制度はきっかけのひとつだが、 本質的には、 2次救急輪番制がありながら、 ほとんどの患者が柏原病院に運ばれ、 それを受け入れ続けた点にあると指摘。 「過重労働と待遇に問題があり、 中堅医師が疲弊した」 と答えた。 また、 病院の再興には、 早急に都会の民間病院並みに待遇を改善し、 内科医を増やすことが必要との認識を示した。
伊藤コーディネーターは、 「医師不足の状況は2、 3年では終わらないだろう。 他病院ともども数年だけでも地域連携を考えないと、 共倒れになりかねない非常に危険な状況。 このままずるずるいくと、 大変なことになる。 県なりの強力な旗振りが必要だ」 と述べた。
同ツアーは、 今回が初実施。 同日、 公立八鹿病院を、 21日には公立香住病院をそれぞれ訪問した。