県放射線技師会の学術大会が11日、 ポップアップホールで開かれ、 上田康夫県立柏原病院副院長が、 「地域医療における 『見果てぬ夢』 ―今、 地方自治体病院に起こっていること」 と題して講演。 深刻な医師不足がもたらす悪循環に悩まされながらも救急医療を継続している柏原病院の実状や丹波圏域の病院再編などについて、 心情を吐露した。
医師不足については、 元々少ない医師数で、 軽症から重症まで24時間365日患者を受け入れ続けたことで医師が疲弊し、 特に患者が多かった内科や小児科の医師が去ったと分析。
外科系の救急受け入れが低下している件についても、 常勤の麻酔科医がいなくなったことが大きな影を落としているとし、 「救急車を引き受けても、 (外科医が) 相談できる内科医の手が空かない、 麻酔科医を確保できない場合を想定すると、 時間外救急患者の受け入れ率が下がってしまうのもやむを得ないと言わざるを得ない。 今はもう以前のように全ての患者を受け入れることは不可能で、 仮に受け入れたとしても担当すべき医師は不足し、 再搬送のためにさらに貴重な医師の手がとられる。 担当した医師個人が責任を問われる医療訴訟が増加しており、 (医師不足で) リスク対応の欠けた現状で現場医師に救急医療の責を全面的に負わすことはできない。 2次救急輪番当番日以外でも 『診たいけれど診れない』 のが現実の姿」 と語った。
また、 地域医療再編に関し、 「市町村は 『県が方向性 (地域医療構想) を出してくれない』 『県立病院なのだから県が責任を持ってもらわないと』 といい、 一方で県は 『各医療圏ごとに市町村の明確な構想がなければ動きようがない』 といい、 医療現場は双方がキャッチボールをしている間に確実に立ち枯れていく」 と指摘。
県立柏原、 柏原赤十字、 兵庫医大篠山の3病院の集約化について、 「タブー視せず、 地方行政単位や関連大学のテリトリーを越えての現実的な検討をまな板に載せるべきと今も考えている」 と訴えた。