地域の医療問題を、 自分や家族の問題として捉えてもらおうと、 丹波医療再生ネットワーク (里博文代表) が8、 9の両日、 啓発ドラマ 「今ここであなたが倒れたら」 の撮影を、 丹波市内のモデルルームや、 診療所で行った。 シナリオも、 出演者も、 監督も丹波市民でまかなっている。 15分強にまとめ、 3月末から4月上旬の完成をめざす。
祖父母と30歳代の夫婦、 2人の子どもの6人暮らしの家庭の物語。 「ある日、 祖父がお風呂で倒れる。 丹波地域に収容できる病院はなく、 丹波圏外に救急車で搬送され、 一命をとりとめる。 祖父母が自宅にいることを前提に、 妻は勤めに出ていたが、 祖母が入院の付き添いで病院に泊まりこむようになったため、 仕事を退職。 夫婦仲もぎくしゃくし、 妻は子を連れ神戸の実家に戻る」 と、 医療資源が乏しくなった現在の丹波市では、 家族が1人が倒れただけで、 平和な家庭が崩壊しかねないというストーリー。
吉住工務店のモデルハウス (春日町) を借り、 自宅のシーンを撮影。 祖父が倒れる場面では、 ドライアイスを水につけて冷気を出し、 湯気を表現するなどした。 また、 芦田内科 (柏原町) では、 見舞いや搬送される場面を撮影した。 撮影を手伝った柏原高校の女子生徒2人も、 看護師にふんし、 出演した。
カメラマンの速形重幸さん (春日町) が監督と撮影を手がけた。 祖母と、 息子夫婦役を演じるのは、 市島地域のアマチュア劇団 「丹波栗」 の有本敏子さん、 山本昌彦さん、 笹倉敬子さん。 祖父役は、 劇団 「くろまめ」 の元劇団員、 山本寛さん。 孫役は、 足立温音君と好花ちゃんきょうだい。
山本さんは、 「家庭の歯車がちょっとしたことで狂う、 というシナリオを読んで、 その通りだなあ、 と感じた。 自分もいつその立場になるか分からない」 と言い、 笹倉さんは 「カットを何度も繰り返す点が、 芝居と違うところ」 と感想を話した。
脚本を手がけた歯科医の和久雅彦さん (氷上町) は、 「医療は自分や家族が入院した経験がない限り、 身近な問題とは認識しづらい。 ドラマのようなことは、 誰にでも、 起こり得る。 医療の大切さ、 医療崩壊の深刻さをリアリティを持って受け止めてもらえたら幸い」 と話している。