昇進うつ病

2008.03.20
丹波春秋

 篠山市役所の大幅な人事異動が過日の新聞に載っていたように、異動の時期を迎えた。異動で昇進する人もいるが、昇進は、必ずしも手放しで喜べない側面があることを知った。というのも、昇進うつ病というのがあるらしい。昇進で、精神的にも肉体的にも負担感が増え、うつ病を発症するという。▼一生涯の間に男性は10人に1人、女性は5人に1人の割合でうつ病を患うという。うつ病は決して他人事ではない。男女の別にかかわりなく身近な病気だ。ただ発病の誘因には男女差があり、男性では仕事の過労と並んで職務異動が圧倒的に多い。昇進うつ病のように人事異動も引き金になるわけだ。▼うつ病にならないためには、楽観的な人生観を持つことだと言われる。くよくよせず、「何とかなるさ」を口癖にするぐらいがいいらしい。▼庶民の生活感情を伝える歌を収録した室町時代後期の「閑吟集」に、「何せうぞ、くすんで、一期は夢よ。ただ狂へ」というのがある。「何になろう、まじめくさって、一生は夢よ。遊び狂えよ」という意味だ。▼もちろん当時の庶民が遊び狂っていたわけではない。実際は牛馬のごとく働かざるを得なかった。だからこそ、「一期は夢」と自らに言い聞かせることで精神のバランスを保っていたのだろう。異動で昇進される方、どうかご自愛を。(Y)

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