丹波医療再生ネットワーク (里博文会長) などが12日、 柏原公民館で市民医療公開講座 「今、 丹波の医療が危ない!」 を開いた。 市民ら約100人が参加。 県立柏原病院小児科の和久祥三医師が、 全国的に注目されている 「県立柏原病院の小児科を守る会」 の活動などを紹介したほか、 参加者で座談会を開いて意見交換した。
和久医師は、 周産期医療、 救急、 入院患者への対応と、 当直医は1人で3つの 「即対応」 を迫られる現状を 「医師も患者も綱渡り」 と説明。 小児科医は増えたものの、 病院全体では減少している医師数を示し、 「背筋が凍る思いだ」 と話した。 酒井國安院長が現職に昇任した際、 「医師の補充もなく、 がんばる意味が分からなくなった」 と辞める意志を固めた当時の心境も吐露した。
「県立柏原病院の小児科を守る会」 の活動により、 2003年8月には約200件あった夜間救急件数が、 07年同月では17件だったという数字を示し、 「数字はうれしいが、 素人による医療抑制に不安を感じた」 面もあったことも紹介し、 お母さんたちに医療知識を提供する活動を始めた経緯も振り返った。
また、 今の心境を、 死を宣告された患者の心の動きにたとえ、 「否認、 怒りに始まり、 最後は受容―と変化していくというが、 その次の、 『覚醒』 という前向きな段階があるはずと信じている」 とし、 「丹波には 『守る会』 『再生ネット』 という、 地域医療を考える2つの場があるということは貴重だ」 と市民運動の広がりに大きな期待を示した。
このほか、 里会長が、 問題となっている医師不足の原因などを解説したうえで、 ▽医師が働きたいと思う風土をつくる▽健康に関心をもつなど、 自分で出来ることを考える▽医療問題の共通認識をもつ▽柏原病院や柏原日赤でボランティアをするなど、 汗をかく―の4つを提案し、 「本気で医療を考える地域だけが、 医療を継続できる」 と強調した。