県立柏原病院の小児科を守る会の丹生裕子代表 (37) =市島町喜多=が、 26日に東京国際フォーラムで開かれる 「第111回日本小児科学会学術集会」 (日本小児科学会主催) のシンポジウムに招待され、 演者として 「小児医療について―市民としてできること」 と題し、 会の取り組みを講演する。 年に1度開かれる小児科学会最大の集会で、 25日から27日の3日間で、 全国から4000人以上の小児科医が参加する見通し。 (足立智和)
丹生代表は、 総合シンポジウムの 「小児医療体制と小児科医のQOLを改善するための戦略―地域小児科センターの認定基準をめぐって」 に登壇。 中澤誠氏 (小児・生涯心臓疾患研究所、 総合南東北病院) と同学会副会長の藤村正哲氏 (大阪府立母子保健総合医療センター) が座長を務め、 大阪市立住吉病院小児科、 横浜市立大学小児科、 国立成育医療センターの医師らと共に意見陳述する。 丹生代表の講演時間は25分の予定。
意見陳述後、 客席の小児科医との質疑応答もあるという。
同学会は、 長時間勤務が常態化し、 疲弊する病院の小児科勤務医の勤務環境の改善や、 医療の質向上のために、 病院の小児科の入院施設を集約する地域小児科センターを設け、 学会が認定する制度の創設をめざしており、 今回の学会でも重要な検討事項の1つに位置付けている。
集会では、 約1000の研究発表があるが、 ほとんどが会員である小児科医が自ら応募したもの。 学会が直接企画する部分は、 福永慶隆会頭 (日本医科大学小児科学教室教授) の講演、 特別講演などごくひと握りの特別枠で、 総合シンポジウムもその中に含まれる。
同集会への参加を後押しした丹波市出身の小児科開業医・江原伯陽さん (三田市) は、 「総合シンポジウムは、 大学の教授クラスの発表の場。 アカデミックな学会に、 一般住民が招かれるのは、 歴史的にも珍しいと思う。 故郷の取り組みが注目され、 うれしい限り」 と言う。
丹生代表は、 「専門家の前で、 何をしゃべればいいのだろうという思いもあるが、 『こんなことをやっている地域がある』 ということを、 多くの小児科の先生に知ってもらえれば」 と話している。