ダウン症の兄を持つ落語家の霧の団六さんが「『障害者』という言葉は、邪魔者扱いするようで嫌いだ。『害』はもともと『碍』で、『できないことがある』という意味。誰でもできないことが何かあるはず。とすると、皆が『障碍者』だ。せめて『障がい者』と書いてほしい」と講演していた(本紙4月27日号)。確かに「碍」は「さまたげる」という意味で、「害する」とは違う。▼やはり障害のある娘さんを持ち、いぬいふくし村(篠山市)を運営する山中信彦さんが以前、「元気な人も、いつ身体が不自由になるかわからない。たまたま早く不自由になった人を、まだなっていない人が支えなくては」と話していたのを思い出した。▼欧米では「ハンディキャップド」(ハンディを背負った)とか「ディスエイブルド」(身体の不自由な)といった従来の言葉を、「アダプティブ」(適応性のある)、「チャレンジド」(困難を乗り越えようとする)などと言い換える動きがあるそうだ。▼「痴呆症」に変わって「認知症」が定着したように、「障害者」ももっと適切な言葉があればいいと思う。しかし一方、「後期高齢者保険」を「長寿保険」と言い換えて問題が解決するわけではない。▼要は、障害のある人を「健常者の自分と違う」と見るのでなく、「自分もある意味同じ」と考える所から始まるのだろう。 (E)