兵庫医科大学篠山病院の存続に向けた公的支援の最終額が固まり、 15日に神戸市の県農業共済会館で開かれた第17回三者協議で、 同医大、 篠山市、 県の三者とも 「存続へ前向きに検討する」 という方向で一致した。 ただ、 病院関連施設の用地をめぐる問題が浮上。 市、 県との折り合いがついておらず、 最後に大きな問題となる可能性も残っている。 医大は20日の常務会を経て、 26日に開く理事会と評議員会で最終結論を出す予定という。 次回の三者協議の日程は未定。
最終的な公的支援額は、 10年間で、 篠山市が35億8000万円、 県が7億6600万円、 国が5億7600万円。 市、 県、 国の総額は49億2200万円となる。
医大は、 昨年10月30日にいったん交渉担当者レベルで計42億2200万円の支援額に同意したものの、 学内の同意が得られず、 存続するならば 「支援額の上積み」 を求めていた。
その後の県と医大との話し合いで、 存続交渉に応じられる県と市の追加公的支援額として 「7億円」 が示され、 県は前回4月30日の協議で3億円上積みを提案。 残る4億円を市に求めたが、 市は、 県議らを通じて市の負担をもう少し軽くしてもらえるよう懇願。 県は今回さらに1億6000万円を増額するとした。 市は残る2億4000万円を出す方針。 これで、 医大側の交渉陣が県との間で了承した追加支援額に達した。
増額分については、 県、 市とも病院建設費にあてるのか運営費とするのかは決まっていない。
2度の追加支援を決めたことについて県健康局医務課は 「地域の医療確保についての県の強い意志の表れ」 とする。 丹波市の県立柏原病院と柏原赤十字病院が医師不足に陥っていることから、 三田市など丹波外の医療圏への影響も懸念し、 医大篠山病院の存続を重視したものとみられる。
医大は 「篠山病院を残すとなれば、 医師派遣など課題も多いが、 県の意向を汲み、 学内世論をまとめるよう前向きに動いていく」 としている。
15日の三者協議には、 県から齋藤富雄副知事、 細川裕平健康福祉部長ら8人、 市から酒井隆明市長、 金野幸雄副市長ら5人、 医大から飯田俊一理事ら4人が出席。 オブザーバーとして小西隆紀県議も同席した。
「用地交換」問題が浮上
今回の協議で、 新病院の用地をめぐって、 大きなズレが浮上した。 兵庫医科大学は新病院を、 リハビリセンター隣の用地 (市有地、 現在は公園) に建設する計画をもっている。 医大は、 今回の協議で、 現在の病院用地と引き換えに、 新病院の建設予定地を含めた医大関連施設の用地を医大の所有とする 「用地交換」 を、 存続に向けた付帯条件としてあげた。 現在、 病院が建っている土地は医大の所有地だが、 隣接する老人保健施設とリハビリテーションセンター用地は市有地で、 市が医大に25年間無償貸与している。
酒井隆明市長はこれを 「とうていのめる条件ではない」 と強く拒否。 調整役の県も認めていないという。 土地と建物を一体で所有したい医大に対し、 市は、 無償でも貸与の形を取ることで関与する余地を残したいとみられる。 しかし、 医大側は 「用地交換は重要なポイントとして内部審議する」 としており、 再び協議が難航する可能性も残っている。
市は16日に議員全員協議会を開き、 三者協議の内容を説明した。