県と丹波市は13日、 今年度から新たに 「地域医療循環型人材育成プログラム」 を実施すると発表した。 県立柏原病院と神戸大学での勤務をセットにし、 神戸大学の医師が、 同病院で勤務する仕組みを作る。 県と市は、 プログラムの作成とプログラムに参加する医師の募集を同大に委託する。 5人のプログラム参加を予定している。 県と市は、 同大にできるだけ早期の実施を求めている。
プログラムの詳細は同大が検討中。 実際に何科の医師がプログラムに何人参加するかなどの詰めはこれからになり、 人選も大学に委ねている。 県は、 プログラムを4年ひとサイクルとしたい考えで、 1年目を同病院で、 2―4年を同大で勤務する形を希望している。 県は、 主に内科と外科の准教授、 講師クラスで、 即戦力となる医師の参加を期待している。
プログラムでは、 総合診療医的な見識を持ちつつ、 高度医療を指導する人材育成をめざす。 同病院で地域医療部分を、 大学で高度医療に携わることで、 経験を積めるようにする。
事業費1億5750万円を、 県2、 市1の割合で負担する。 市は17日の市議会に補正予算を計上する。 事業費は全額、 委託料として大学に支払う。 同病院で勤務期間中は、 県職員の待遇を受ける。 同病院で勤務する医師に大学の 「ポスト」 を約束することもプログラムに盛り込む予定という。
【解説】人は集まるのか
「人が集まるかどうかにかかっている」。 記者会見で黒田進県病院事業管理者は言った。 神戸大学自体、 人材難にあえいでいる。 まずは、 医師にとって魅力的なプログラムを作ることが必要だ。 大学との 「抱き合わせ」 で、 柏原病院の勤務医を確保できさえすればいいと、 県、 丹波市、 大学が、 「駒」 のように考えるのであれば、 医師は集まらないだろう。
県が兵庫医大にお金を出し柏原病院で実施している 「地域医療学講座」。 医師2人が赴任するはずだったが、 事業が始まって1年半、 2人目が着任したという話は聞かない。 神戸大学1年生に対する奨学金制度でも、 昨年度の応募者がなかったように、 県の施策は、 制度は作ったものの、 実効性が疑わしいものが目につく。
「地域医療循環型人材育成プログラム」 は、 県が行う 「医師確保対策」 の中でも 「例外的な成功例」 となるか。 注視したい。 (足立智和)