関西電力が「世界最大級の太陽光発電」を計画したり、三菱重工が稲わらを使ったバイオ燃料の実用化をめざすなど、大企業が石油を使わなくてすむ技術開発に乗り出すニュースが相次いでいる。▼石油価格が暴騰し、代替エネルギーの競争力が強まったことが大きな要因だが、もう1つ見逃せないのは、化石燃料の代替化によるCO2の削減が、今や経済価値を持ち始めたことに、企業が鋭敏に目を着けたということだ。▼つまり、京都議定書による先進国のCO2削減が約束期間に入り、さらに厳しい中期目標の枠組作りも来年に迫る中で、いずれ企業ごとに排出量削減を義務付けられ、クリアして余裕のある企業がクリアできない企業に権利を売る「排出権取引」が不可避の情勢になった。▼ここで丹波など山間地域にとって注目すべきは、CO2を吸収する事業が削減量にカウントされ、吸収源として森林に大きな期待が寄せられていることだ。京都議定書の日本の削減目標、90年比6%のうち、3・8%分が森林整備によって見込まれている。今後、目ざとい企業は一斉に内外の森林に目を向けるだろう。▼環境経済学者の横山孝雄氏(兵庫県立大)は「丹波地域にはまさに宝の山が埋もれている。それを掘り起こす戦略を地域は持っているか」と問いかけている。 (E)